メニルモンタン 2つの秋と3つの冬

(2013年 / フランス)

ボルドーの美大を卒業したアルマンは定職にも就けず、冴えない毎日を過ごしていた。33歳の誕生日にある決意をしたアルマンは、偶然出会ったアメリにひと目で恋をするが…。

ドラマみたいな恋

メニルモンタン 2つの秋と3つの冬

「ドラマみたいな恋」したことありますかって聞かれたら、即座に「ありません」と答えます。いえ、恋愛自体はしたことあります。でも、その恋愛が「ドラマみたい」だったかと思い返すと、何ひとつ思い当たる節がなく、ため息をついてしまいますね。僕はどちらかと言うと、と言うか圧倒的に片想いだったので、確実に振り向いてもらえない状況の中、辛い気持ちに身を貫かれるケースばかりで、起伏どころか急降下しかない恋愛遍歴。そんなわけなので、ドラマとして成立するはずがなく三文芝居にもなりません。だってそもそも登場人物が僕ひとりしかいないのですから。とまぁ、自虐的になるのはここまでにして、その「ドラマみたいな恋」とはどんな恋愛なのか、考えてみたいと思います。ドラマみたいと謳うのですから、ドラマチックというわかりづらい形容を思い浮かべるより、テレビドラマとして成立するかどうか考察してみる必要がありそうです。恋愛を題材にしたドラマなので、フジテレビの月9のトレンディードラマ(年齢がばれますが)が代表的だと思いますが、キムタクや鈴木保奈美(年齢もろばれ)が出演してて胸をときめかされたドラマに、自らの恋愛を重ね合わせてみるよいかもしれません。

さて、どこか思い当たるところはありましたでしょうか。ちなみに僕は前述のとおりですのでまったくシチュエーションが思い浮かばないのですが、たとえば、イルミネーションきらめく港町で劇的な再会をしたりとか、競合企業に勤める男女が敵対しながらも惹かれ合ったりとか、見た目冴えないブ男が情熱で美女を振り向かせたりとか。そんなにドラマ観るほうじゃないのでちょっとたとえが面白くないですが、とにかくあり得ない展開であろうとも、どんなに予定調和に終わろうとも、その恋愛談を聞かせた人に共感、感情移入させて強烈なインパクトを与えることができる内容であれば、それはもうドラマみたいな恋といえるでしょう。で、その筋で言うところの、ドラマみたいと思わせる最大の要因である「強烈なインパクト」ですが、これはやはり「出会いのシチュエーション」ではないでしょうか。告白した時、初めてキスした時、プロポーズした時よりも、まだ始まっていない恋がどうやって始まったのか、そのほんの1秒間における2人の出会いがどうだったかで、インパクトの度合いは大きく違ってくるんだと思います。

何となく惰性で始まった交際が大恋愛に発展することもあるでしょう。それはそれでドラマチックだと思いますし、そういった過程を描いたドラマだって制作されているはずです。でも、注目される、つまり印象に残るのは出会いのシーンでしょう。いきなり出だしから運命の糸をたぐり寄せたようなフィーリングぴったりの出会いより、互いの印象が最悪、出会い頭でぶつかった、SNSで間違って連絡してしまったなどのほうが、後の展開が予想できなくて観てるほうは胸を躍らせます。ドラマの脚本を書く人にとって、初回で視聴者の関心を奪うことこそ仕事なのですから。でも、ちょっと待ってください。ドラマみたいな恋は本当にテレビドラマの中でしかあり得ないのでしょうか。そんなはずはないです。出会いのほんの一瞬だけインパクトが強烈なのは、ドラマとして大げさ、かつわざとらしく演出されているからであって、実際視聴者はそんなことあるわけないと割り切って見続けているわけです。現実の出会いは淡々としてものであっても、もとをたどればドラマチックだったというケースはいくらでもあります。思い返してみてください。

ドラマみたいな恋に憧れるのは結構ですが、追い求めすぎるのは良くないかと思います。なぜなら「ドラマ」と言うからには偶発性が絡んでくるからであり、あらかじめ想定していたシナリオが実現することなどないからです。いやいや連れてこられた場所で知り合った、病院の待合室で隣り合わせになった、メールの誤送信がきっかけでやり取りするようになった。この瞬間にすでにドラマは始まっているのです。


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