ネイビーシールズ

(2012年 / アメリカ)

医師を装ってコスタリカに潜入していた、CIAの女性エージェントが拉致される。直ちにのチーム7に出動命令がかかり、隊員たちは敵のアジトを急襲、見事な手腕でエージェント奪還は成功。しかし、誘拐犯の携帯電話から、イスラム系テロリストによる全世界規模のテロ計画が割り出され、彼らに再び指令が出される。

特殊部隊はアトラクションではない

軍事組織において、一般的な軍事作戦とは性質を異にする困難な作戦の遂行のために特別に編成された「特殊部隊」。比較的小人数による部隊行動で後方攪乱、破壊工作(暗殺を含む)、戦略的攻撃、対テロ作戦、情報収集、心理戦、人質救出などを主な任務としています。人員確保については、その国の軍隊や治安機関に籍を置く志願者から選抜される形式になっていますが、その専門性と性質上、個人の能力とチームワークの両方が求められるため、どの国の選抜テストも内容は過酷。どの志願者も肉体と精神の両方を限界まで試され、不適格と見なされたものは容赦なく落とされ、耐えきったごく少数の者だけが特殊部隊員となれるとのことです。入隊すると、個人情報は秘匿され報道関係者の前ではマスク(目出し帽)を着用して素顔を隠します。さらに、「部隊で見たり聞いたりしたことを他人に話せば、時には法で罰せられる。家族に対しても同様である」という訓示を受け、保秘を徹底させられると言われています。

特殊部隊はその性質上、大まかに軍隊系と警察(治安機関)系に分類されます。まず「軍隊系特殊部隊」。基本的に軍事行動の一環として行動し、任務の遂行にあたってはある程度の被害がともなうことも許容され、場合によっては警察力が対処不可能な状況における対テロ活動・治安維持活動も行います。陸上自衛隊の特殊作戦群、海上自衛隊の特別警備隊がこれにあたります。もうひとつが「警察系特殊部隊」。通常の警察官では対処できない、テロや人質事件のような事案に対処することを目的とする部隊。自動小銃・短機関銃・狙撃銃などの一般の警官と異なる装備を使用しますが、あくまで警察活動の一環のなので、人質・犯人ともに無傷での事件解決が前提となるとのこと。日本のSAT、アメリカのSWATがそうですね。

現在では世界のあらゆる国が特殊部隊を保有していますが、その中でも有名なのは(というか僕が真っ先に思いつくのが)、アメリカの「グリーンベレー」と「デルタフォース」ではないでしょうか。正式名称をアメリカ陸軍特殊部隊といい、その隊員の戦力は陸軍の歩兵200人に相当すると言われているグリーンベレー。テロリスト制圧や対ゲリラ、突入作戦といった任務のほか、友好国の軍や親米軍事組織に特殊作戦や対ゲリラ戦の訓練を施す訓練部隊でもあります。そのため、海外での活動を視野に入れた高度な語学教育を受けることでも知られています。一方のデルタフォースは、対テロ作戦を遂行するアメリカ陸軍の特殊部隊でありますが、アメリカ政府に公式に認められていない組織。通常は4人1組で行動し、近接戦闘などのほか、演習時には他部隊の一般の兵士に容易に作戦内容を知られぬようにドイツ語やフランス語を使って作戦会議を行うなど、隊員の語学水準は非常に高い。で、両者の違いですが、グリーンベレー内の実働部隊がデルタフォースであるため、デルタフォースの隊員こそ特殊部隊の花型といえるのかもしれません。

さて、この映画はアメリカ海軍の特殊部隊であるネイビーシールズを描いた作品です。アメリカ陸軍の特殊精鋭部隊であるグリーンベレーやデルタフォースと並び、アメリカ軍の中でも最強とうたわれるネイビーシールズ。海軍所属ではありますが、陸海空問わず偵察、監視、不正規戦等の特殊作戦に対応できる能力を持ちます。北極圏の水中での作業や陸上の過酷な環境での作戦従事、パラシュートを使用した空挺作戦にも対応できるため、まさにオールマイティーな特殊部隊といえ、隊員になるには相当過酷な試験・訓練が課せられることは想像に難くありません。

そんな特殊部隊の中の特殊部隊といえるネイビーシールズなので、武装や兵器、隊員などの情報は絶対に公開してはならないはずなのですが、この映画ではすべてではないものの丸裸にされています。さすがに客寄せのキャッチコピーだとは思いますが、アメリカ国防総省が大騒ぎをしたという話題作でもあります。僕はミリオタではないので、特に拝むように観たわけではないため有難味はわからず、ほかのアクション映画とどこが違うのか判別つかなかったクチです。だから、よくテレビ番組でやる「本邦初公開!」というのに煽られまくって、結局「なんだ、そんなものか」で終わるいつのもパターンを追体験したにすぎませんでした。実際の現場は映画のようにドラマチックなものではなく、もっともっと凄惨で冷酷なものだと思いますので、テーマパークの新しいアトラクションに並ぶような好奇心で鑑賞することは本当はしちゃいけないのかも。


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