アバター

(2009年 / アメリカ)

地球から遥か離れた惑星・パンドラに住む原住民と接触するために計画された、“アバタープロジェクト”に参加することになった元海兵隊員の冒険と成長を描く。

シャア専用MSとの相関性

シャア・アズナブルはなぜ赤いモビルスールに乗っているのか、調べてみました。すると、製作当時スタジオで赤とピンク系の塗料が余っていたからという説、戦場で目立って戦果を際立たせるためという説、才能を上司に疎まれて基調カラーに塗装する前のものをあてがわれたという説など、いろいろ出てきました。そもそもアニメですし真剣に議論することではないと思いますが、真相はどうあれ、モスグリーンが基調カラーだったジオン軍において、シャアだけが単騎別のカラーのモビルスーツに乗ることを許されていたことからも、特別な存在として遇されていたことがわかります。

一年戦争で、シャアが地球連邦軍の脅威と目されるようになったきっかけが、ルウム戦役でした。この戦役において階級はまだ中尉でありましたが、戦艦5隻を沈めるという大戦果を上げ2階級特進し少佐となります。この時点でシャアはすでに赤いザクに乗っていたため以後「赤い彗星」と呼ばれるようになるのですが、ということはシャアの功績は以前から認められていたと考えることができます。ルウム戦役の前の大会戦は、ジオンがコロニー落としを企てたブリティッシュ作戦があるのですが、シャアはその時に功績をあげていたのでしょうか。調べればわかるはずですが、ここまでにしておきます。

とにかく、シャアが特別な色のモビルスーツに乗っていることは事実なので、ではなぜ「赤」という色なのかを知る必要がありそうです。赤は「エネルギーを表す動きやアクティブな印象をあたえ、目を引く色なので広告など宣伝するときに活用されるほか、スポーツで闘争心を駆り立てたいときのパワーとなる」という効果があるそうです。赤い色を見れば、前向きになりやる気を出させてくれるということでしょう。要するに「強者」とか「成功」につながるイメージで、シャアの経歴や実力そのものという気がします。では、相手にとってはどうかというと、部下にとっては統率力、カリスマ性、敵にとってはすべてを破壊する恐怖の対象として映ったに違いありません。

さて、この映画は、基本的に青と緑だけで彩られています。青は惑星パンドラの原住民ナヴィの体色、緑は入植者である地球人の軍服。あと、パンドラは地球と環境が似ており秘境や密林で覆われているので、緑一色です。それぞれの色のイメージは、青が誠実、信頼感、落ち着きで、緑は安心感や安定、調和。こう見てみると、青と緑は双方とも穏やかなイメージがあり親和性があると感じます。しかし、この映画には一点だけ赤が登場します。では、その赤が青や緑の中に入るとどうなるかというと、明らかに挑発的で破壊者が連想されますが、一方で青や緑を率いて勝利をもたらす存在としてもあり得るのです。そう、赤いモビルスーツを駆って青や緑のザクやムサイを率いてルウムの大捷をもらたしたシャアのように。

ですが、シャアのモビルスーツが赤いから勝てたのか、それとも赤は単なる酔狂でシャアならどんな色のモビルスーツでも戦果をあげることができるのか。もちろんガンダムはアニメなので、主役機であるガンダムのカラーが正義を表す白に対し、脅威の印象を強めるための制作側の措置であるはずですが、僕はそのどちらでもないと考えます。シャアの赤は彼自身の自覚です。赤は、彼の父親であるジオン・ダイクンのかたきを討つべく、出世してザビ家に復讐するための怨念を表した色です。要するに、シャアのジオン軍での活躍は、赤いモビルスーツという仮面をかぶった仮面舞踏会だったのではないでしょうか。「アバター」というネット上のツールが、自分の分身を演じているのと同じように。


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