妹の恋人

(1993年 / アメリカ)

幼い頃に両親を亡くして以来、心を病んでしまっているジューン。兄ベニーはそんな妹を自分のこと以上に大切に見守ってきた。そこへバスター・キートンにあこがれる風変わりな青年サムが転がり込んできて……。

不器用だけど愛すべきお兄ちゃん

妹の恋人

「妹萌え」という現象があります。要するに、口うるさく生意気な妹に手を焼きながらも愛しく思う、兄が妹に対して持つ疑似恋愛的な現象のことであり、最近のアニメ、特にラノベ原作のアニメではほぼ必須の要素となっています。ただ、実際に妹がいる男性に聞くと「絶対そんなことはない」という意見が大半。なので、これは結局、妹のいない人が願望として持ち続けている幻想であり、血縁関係のない年下の女の子を愛するという「ロリコン」に結びつけられないための逃げ口に過ぎないのかもしれません。

そういうアニメに出てくる妹というのは、どのアニメを見ても、ほとんど型にはめ込んだように画一的です。職業は、主人公が高校生なら中学生、社会人なら高校生といった具合で、必ず学生。しかも、大学生はあり得ず、可愛らしいセーラー服やブレザーを着た制服学生でなければなりません。これはスクール水着や体操着といったロリコンチックな描写をしなければならないからでもあります。それに、性格は判で押したように「ツンデレ」。兄(主人公)に対して従順であることはなく、超アクティブでつねに背伸びしています。それは、妹に劣等感を持たせて、視聴者が主人公に自己投影しやすくするためであるのですが、兄はそういうガミガミ突っかかってくる妹に勘違い的な恋愛感情を抱いてしまう。本当は妹(女の子)に構ってもらいたい、と視聴者に思わせるところに商機があると踏んだのでしょう。寂しい男性が増えたというのもうなずけます。

この映画もそうした妹萌えを感じさせる映画です。とはいっても、不健全な兄妹関係を描いているのではなく、自分の幸せよりも妹のことが心配でたまらないと兄の心の葛藤が描かれています。キャラ的にはジョニー・デップに喰われていますが、主人公は兄です(たぶん)。この映画を観て、妹がいる兄というのは、弟に対してよりも、うんと背伸びをしなければならない存在なのではないかと感じました。それは単に年上の男兄妹という立場にとどまるだけでなく、時として父親のように厳しくしつけ守ってやらなければならない。だから、うんと背伸びしすぎて、いつの間にか自分自身のことが見えなくなり、すぐ傍にあるはずのチャンスにも気づかない。いや、わかっていても妹に対するメンツを失いたくないために無理をする。そんな感じなので、妹からは不器用としか見てもらえない。

萌えアニメでは、わかりやすいキャラの妹に対してわかりやすい要素で萌えます。これぞ「妹萌え」の本家本流なのですが、この映画からは「不器用な兄の振る舞いを見て妹の可愛らしさに気づく」という逆転の萌え要素を感じました。僕には妹はいませんが、もしいたらどんな兄になっていたのだろうとふと考えてしまいました。


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