キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー

(2011年 / アメリカ)

1942年。兵士として不適格とされた貧弱な少年、スティーブ・ロジャースは、軍の極秘実験「スーパーソルジャー計画」により<キャプテン・アメリカ>として生まれ変わる。

アメコミが失ったもの

アメコミと言ったら、僕は「スーパーマン」と「スパイダーマン」しか知らないですし、そう言えば子供の頃「トランスフォーマー」のアニメがテレビでやってたなくらいの知識しかありません。で、それを観て感化されたという記憶もなく、ただ単にアメリカ人なら誰でも知ってる子供向けヒーローなんだという冷めた認識で留まっています。別に、アメコミに対して不快な感情を抱いて忌避したというわけではないのですが、日本の子供向けヒーローと言えば圧倒的に「仮面ライダー」や「ウルトラマン」だったので、舶来ものには関心が向かなかったというだけの話です。幼稚園で話題になるのはその両者プラス戦隊ものだったにせよ、アメコミのヒーローが僕らの心をつかむことはありませんでした。どちらも勧善懲悪を軸にしており、キャラクターの特徴やバックグラウンドこそ違えど大まかな筋はだいたい一緒なのですが、やはり子供は国産のヒーローのほうに感情移入するものなんですね。ですが、ここ最近メディアから「マーベル」なるブランドをよく耳にします。僕なんか、マーベルって何ですかというレベルですが。

調べてみると、マーベル(マーベル・コミック)とは、アメコミを代表する出版社のひとつ。スーパーマンやバットマンなどで知られる「DCコミック」とともに、アメコミの屋台骨を支える2大巨頭のうちの一社なんだそうです。で、最近つねに映画館でやっているイメージがあるマーベルものとは、要するにそのマーベル社が手がけているヒーローものマンガの実写化プロジェクトと言っていいと思います。正直僕は、結構前に観たことのあるスーパーマンやスパイダーマンは、大きな意味でアメリカ人によるアメリカ人のための懐古主義全開の記念碑的作品だと思っていましたが、このマーベルものは、マーベル社によるマーベルコミックファンのための娯楽作品だったのです。しかも、僕がどれもアメコミと思っている作品は、厳密にはマーベルものがスパイダーマン、キャプテン・アメリカ、マイティー・ソーなどで、DCコミックがスーパーマン、バットマン、ワンダーウーマンなどであり、このふたつの出版社の作品が共演することはないそうです。ただ、アヴェンジャーズとかファンタスティック・フォーとか、各作品のヒーローが集結したのもあり、なんだかもうよくわからないです。

こうした外国のヒーローが日本で人気を博すことは、それだけ支持される理由があるということですから、よいことだと思います。僕がティーンエージャーだった頃は、シルベスター・スタローンやアーノルド・シュワルツェネガーといった、アメリカ人の筋肉ムキムキ超戦闘野郎がヒーローでしたし。でも、子供向けヒーローはアメコミではなく、やはり国産の変身ヒーローであってほしいと感じます。別に排外主義を植え付けたいわけではないですが、日本人の子供を育成するのは日本人なので、日本人が考えた日本人らしい善悪の区別とカッコよさを感じ取ってほしいと思います。アメコミにそれがないとは言いませんが、仮面ライダーや戦隊ものが大人を対象にした商業映画にならない理由を考えてみればわかると思います。子供向けヒーローを安易に金儲けの道具にするかしないかの違いです。率直に言いますが、この映画は退屈でした。退屈だったのも苦痛でしたが、それよりも、大人も子供も楽しめるって名目で何でもかんでもマネタイズに走ろうとする姿勢が感じられたのが辛かったです。


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