カテゴリー別アーカイブ: ドラマ

フランシスコの2人の息子

僕は趣味で楽器を弾くのですが、あくまでも個人的な趣味であって、誰かに聞かせたり誰かと一緒に演奏したりすることはしません。また、音楽を聴くときも、家の中でステレオから流して聴くとか、通勤時や公園のベンチに座ってスマホからイヤホンを通して聴いたりする感じで、他の人と一緒に盛り上がりながら聴くということはしません。別に、音楽好きを隠しているわけではなく、他の人の演奏に嫌悪感を催すからというわけでもなく、...[続きを読む]

おやすみなさいを言いたくて

戦場カメラマン。特に戦闘や紛争の行われている地域にて戦争や戦闘員、戦争による被害、被害者などを取材するカメラマンのことで、彼らの作品はメディアを通じて目にする機会が多いと思います。中でも、ベトナム戦争で、戦火から逃れるベトナム人母子をとらえた「安全への逃避」は誰もが一度は見たことあると思いますし、僕自身も初めて見たときは強烈なインパクトを受けたことを覚えています。ピュリッツァー賞など国際的な写真コ...[続きを読む]

火の山のマリア

この映画のテーマとなっているのが、南米の先住民族であるマヤ人。メキシコ南部から中央アメリカ北部にかけての地域に居住するアメリカ州の先住民族であり、多数派のスペイン文化に大きく影響を受けつつ伝統的な生活を続けています。「マヤ」と聞くと即座にマヤ文明を想起する通り、紀元前後から16世紀頃までスペインの侵略を受けるまでの大文明を築いてきた人たちのことです。そのマヤ文明の歴史をたどってみると、3世紀には低...[続きを読む]

ソハの地下水道

この映画は、第2次世界大戦におけるナチス・ドイツによるユダヤ人迫害を描いた作品です。ヨーロッパ各地に散らばったユダヤ人は、発見されるや強制収容所に連行されるなどの悲劇を被っていたのですが、現地の心ある人たちによって匿われて迫害から逃れることができた人たちもいました。本作もそうしたエピソードのひとつ。ポーランドのルヴフにて、下水修理業者であるレオポルド・ソハが、ユダヤ人を下水道内に誘導し潜伏生活の手...[続きを読む]

クロエの祈り

クロエの祈り

パレスチナとは、現代のパレスチナ国の領土としてのヨルダン川西岸地区とガザ地区を含めた地域のことですが、もっと広い意味ではイスラエル、パレスチナ自治区、ヨルダン、レバノンとシリアの一部を指します。で、パレスチナ人とは、ヨルダン川より西の、現在のイスラエルとパレスチナ自治区に居住している人々のことを言うようです。聖書で「乳と蜜の流れる土地」と称えられたこの地は、十字軍やナポレオンの遠征など世界史の舞台...[続きを読む]

東ベルリンから来た女

東ベルリンから来た女

ヨーロッパ旅行中、ベルリンの壁を見に行きました。それが、ドイツのベルリンという都市を東西に分断するためにそびえ立っているものだということは幼い頃には何かで知っており、学生になってから、その壁がハンマーで叩き壊わされる映像が頻繁にテレビで流れたのを強烈な印象とともに記憶しています。なので、僕自身がリアルタイムで見聞きした歴史をこの目で見られるということに興奮していたのですが、実物を目にするや、高速道...[続きを読む]

少女は自転車にのって

僕がこれまで訪れたイスラム教国家と言えば、マレーシアとトルコだけですが、マレーシアは多民族国家なのでイスラム一色に染まっているわけではなく、トルコに至っては政教分離を採用しているのでヨーロッパの都市と見紛うほど(イスタンブールは特に)。いろいろ旅ブログや世界紀行番組を見たりしていると、中東や北アフリカを中心としたアラブ諸国では、たとえ旅行者でも女性は被り物をしなくてはいけなかったり入場を禁止されて...[続きを読む]

黄金のアデーレ 名画の帰還

僕は割とよく海外旅行をするほうで、世界遺産をはじめとする名所旧跡はもちろんのこと、その国を代表する博物館や美術館には必ず足を運ぶことにしています。でも正直言うと、古代史や文化史にそれほど強い関心があるというわけではないので、だだっ広い館内を歩いているうちに、飽きが回ってきてソファに腰掛けてうとうとしてしまうことがよくあります。古墳時代の土器や武器、何が書いてあるのかさっぱりわからない古文書など、最...[続きを読む]

屋根裏部屋のマリアたち

メイドとは、個人宅にて清掃、洗濯、炊事などの家庭内労働を行う女性の使用人のこと。もともとは結婚前に奉公に出された若い女性のことだったらしいですが、現在では未婚や既婚に関わらずあくまでも職種を意味するとのことです。その家庭内労働における立ち位置に歴史的経緯があり、古代ローマでは奴隷と明らかな被差別的職種であり、中世においては使用人、また近世以降は家事使用人と、微妙にニュアンスを変えながらも少しずつ酷...[続きを読む]

ひつじ村の兄弟

アイスランドの田舎村で牧羊を営むグミー(主人公・弟)とキディー(兄)は互いにすぐ近くのところで暮らしているにも関わらず、まったくの疎遠状態で協力して事に当たるということをしません。無言の牽制をし合っている感じで、一方が頭抜ければ他方が妬んで足を引っ張ろうとします。憎しみ合っているわけではありませんが、本当は赤の他人になりたいのに、血縁という外すに外せない足かせが無用に関係を煩わしくさせているといっ...[続きを読む]