カテゴリー別アーカイブ: ドラマ

キャスト・アウェイ

「時が解決する」という言葉があります。何か辛いことがあったり取り返しの付かないことをされた人を慰めるために用いられることがほとんどで、傷心した本人が自分自身に言い聞かせる際の用途はあまりないんじゃないかと思います。というか、言われたくない言葉です。絶望に身を焦がされ、まるですべてを失ったかのように目の前が真っ暗になっているのに、「大丈夫。時が解決するから」なんて遠い目をして言われると、正直カチンと...[続きを読む]

グリーンマイル

非常に有名で評価も高い映画ですが、僕にとっては、間延びした感のある退屈な映画だったというのが正直な感想です。この物語の大まかな筋は、コフィという黒人の大男が、女の子ふたりを殺害したかどでで刑務所入りし、ポールら看守たちと交流していくこと。巨漢ながら無邪気で人好きのよさそうな優しさを持ったコフィは、自らにまったく瑕疵はないのに入獄させられたことを一度も釈明することなく、ただひたすら牢の中から、ほかの...[続きを読む]

アポロ13

宇宙開発事業関連の事故で、僕が知っている中でもっとも鮮明に覚えているのが、1986年のスペースシャトル・チャレンジャー号の事故です。打ち上げから73秒後に空中分解し、7名の乗組員が死亡したという凄惨な事故だったわけですが、テレビのニュースで何度も伝えられたことから、当時小学生だった僕の脳裏にその映像はくっきりと焼き付けられました。低温によるOリングの弾性喪失や設計ミスで燃料が漏れたことが原因だった...[続きを読む]

ファイト・クラブ

自分自身に対して腹を立てて、自らの頬を自らの拳で殴ることがよくあります。できると思ったことができなかったり、思った通りに事が進まなかったり、たいていは幼稚な理由からなのですが、とにかくカッとなったら、身の回りにある物ではなく、攻撃の対象を自分自身に向けてしまうのです。どの程度まで殴るかというと、さすがに脳震盪を起こしたり顔にアザができるまではやりませんが、痛みがじーんと脳髄まで到達して軽く足元がふ...[続きを読む]

八日目

1日目「暗闇がある中、神は光を作り、昼と夜が出来た」。2日目「神は空(天)をつくった」。3日目「神は大地を作り、海が生まれ、地に植物をはえさせた」。4日目「神は太陽と月と星をつくった」。5日目「神は魚と鳥をつくった」。6日目「神は獣と家畜をつくり、神に似せた人をつくった」。7日目「神は休んだ」。旧約聖書『創世記』の冒頭で語られる天地創造です。 僕はキリスト教徒ではないしキリストの教えに共感す...[続きを読む]

K-19

動力に原子炉を使用する原子力潜水艦(以下、原潜)。通常動力型潜水艦がディーゼル機関を作動させてスクリューを回すのに対し、原潜は原子力すなわち核分裂により生成される熱エネルギーで水を沸かしてタービンを回すことでスクリューを回転させ航行します。原子炉の形式ですが、現在までのところ加圧水型原子炉(PWR)のみであり、別の代表的な原子炉形式である沸騰水型原子炉(BWR)が採用されたことはないとのこと。潜水...[続きを読む]

胡同のひまわり

絵を描くことは得意でもないし好きでもありません。むしろかなり苦手意識を持っていて、何かで図示的な説明を求められたとき、ちょっとイラスト書いてみてと言われると、無意識のうちに顔をしかめてしまいます。こんな僕でも、小学生の頃は水彩画マイスターでした。マイスターというのはさすがに言いすぎましたが、中高学年の頃は市や県のコンクールで佳作・入選・特選を取りまくっていたという燦然たる過去があるのです。当時は自...[続きを読む]

はやぶさ 遥かなる帰還

「仕事が楽しくない」と思うことがしょっちゅうあります。いや、しょっちゅうどころか、四六時中そう思っているかもしれません。もちろん、にやけ笑いが出てしまうほど「楽しい」と思う時もありますが、たいていは「楽しくない」と思っており、ムスッと仏頂面をしながら仕事をしていることをつねに意識できてしまっている始末です。理由はわかっています。「任された仕事に真剣になれない」「自分のスキル不足で作業がはかどらない...[続きを読む]

セブン・イヤーズ・イン・チベット

ヒマラヤ山脈の北側に広がる、平均海抜4,500mのチベット高原。「世界の屋根」と呼ばれるその高原地帯では、牧畜や農耕をなりわいとし、主に仏教を信仰するチベット人が600万人ほど暮らしています。そこには「チベット」という独立国家が存在していました。しかし、現在、国家としてのチベットは存在しません。1950年秋、成立間もない中華人民共和国は、チベット東部チャムド地区への攻撃を皮切りに、本格的な侵攻を開...[続きを読む]

クロワッサンで朝食を

この映画は、エストニア人女性がパリに来て家政婦をするというストーリーなのですが、内容はともかく、エストニアという名前くらいしか聞いたことのない国のことに強く興味を引かれました。エストニアは、フィンランド湾に面するバルト三国の中で最も北の国であり、南はラトビア、東はロシアと国境を接っしています。面積は九州本島の1.23倍で、人口は134万人、1人あたりのGDPも26000ドルといいますから、小規模な...[続きを読む]