カテゴリー別アーカイブ: た行

ダンサー・イン・ザ・ダーク

「鬱アニメ」とか「鬱ドラマ」と呼ばれる作品があります。とにかく作風が暗くて、主人公や登場人物が精神錯乱や死といったバッドエンドで終わる内容で、観終わって思わず気分が塞ぎ込んでしまう作品のことを言います。そういう陰惨さが醍醐味で一種の芸術表現であるという見方もありファンも多いとのことですが、「鬱」というネガティブな単語を冠している通り、気が抜けてやる気が起きなくなるものがほとんど。ただ暗く絶望的な内...[続きを読む]

ドリフト 神がサーフする場所(ところ)

大学一年生の頃、僕はサーファーでした。すみません。言い過ぎました。正確には、丘サーファーです。ボードの上に立って波のうねりを捕えて華麗に滑走する、なんてことは一度もできず、ただボードに腹這いになってパドリングで波に向かっていくも、結局立ち上がることすらできず、一度も波に乗ることのできなかったサーファーでした。大学のキャンパスが湘南の近くだったこともあり、夏前から友だちと2人で海岸通のサーフショップ...[続きを読む]

大統領の執事の涙

「執事」って一体どんな仕事をする人のことなのでしょうか。僕は実際に執事の仕事をしている人を見たことはないので、ドラマやアニメを通じてのイメージをいうと、召使とか使用人といったところでしょうか。大企業の重役とか昔からの名家に仕えて、主人のスケジュール管理や来訪者の取次などをこなす人のこと。いつもタキシードでキメていて、家政婦や乳母がするような家の清掃とか子供の世話とかせず、江戸時代の家老職のような感...[続きを読む]

ターミナル

空港は僕の好きな場所のひとつです。空港は、ただ単に、飛行機への搭乗手続きを済ませるためだけに利用する場所ではありません。個人的な楽しみを味わう時間を見越して早めに到着するようにしています。特に何かをするわけではありません。「空港にいる」という実感を噛みしめるためです。以前は、チェックイン(搭乗手続き)を早めに済ませてしまうと到着した空港で荷物が最後のほうに出てくるという説を信じていた時期もありまし...[続きを読む]

トゥルー・ロマンス

債務の支払を一定期間だけ猶予されていることを「モラトリアム」といいますが、そこから転じて、社会的責任を一時的に免除あるいは猶予されている期間のことを指したりします。特に、就職活動前の大学生に当てられることが多く、さまざまな挑戦を通して生きがいや働きがいとは何かを模索し、自分自身のアイデンティティを確立していく期間のことを言ったりします。本格的に社会人になる前にアルバイトや人との出会いを通じて社会勉...[続きを読む]

トゥルーマン・ショー

街中、電車の中、会社の中など、多くの人がいるところに身を置くと、「誰かに見られている」気がする。そうでなくとも、自室でひとりでいたとしても、背後から見つめられている感じがすることがある。こうした感覚のことを「注察妄想」といいますが、さらにその思い込みがエスカレートすると、のぞき見されている、監視されている、尾行されている、盗聴や盗撮されているなどという「追跡妄想」のほうへ発展していきます。「妄想」...[続きを読む]

遠い空の向こうに

レコードからMP3プレーヤー、黒電話からスマートフォン、鉛筆からワープロ、小銭入れからSuica、百科事典からGoogle検索。これら、時代の推移とともに移り変わっていった(あるいは移り変わりつつある)デバイスを、いまパッと思いついたまま列挙したものです。左辺を従来型とすれば、右辺は現代仕様と呼べるかと思います。もちろん、左辺が完全に廃れたものと言いたいわけではなく、ごく少数の懐古主義者を除いて、...[続きを読む]

ダンテズ・ピーク

僕がかなり小さかった頃のことですが、ドーンドーンという破裂音とともに、空気が振動するという現象が発生したことがありました。始めは、弟が2階でふざけて飛び跳ねているのかと思いましたが、それにしては音は遠いところから聞こえてくるし、何より空気が震えていることの説明がつきません。テレビを付けてみたら、理由はすぐに分かりました。大島の三原山が噴火したとのことでした。僕の実家は房総半島にあるのですが、物質的...[続きを読む]

TAXi

僕はタクシーをほとんど利用したことがありません。したことがないというより、できるだけ「利用したくない」と思っています。別に、タクシー独特のにおいが嫌だとか、メーターが気になって落ち着かないからだとか、運転士との相性が気になるだとかというわけではなく、なんとなく「甘えている」ような気分がしてしまうからです。もちろん、タクシーを利用することが甘えているなんてことは根拠のないことです。それに、公共交通機...[続きを読む]

チョコレートドーナツ

生きているうちにいつかは、「普通じゃない」という言い方をしたりされることがあると思います。要するに、自分の価値観とは異なる人格や行動などに対して、直感的に感じる「違和感」の発露のことなのでありますが、その違和感の方向性がプラスかマイナスかで問われると、おそらくほとんどが後者ではないでしょうか。どこか、異星人でも見るような視線で、平準的であると信じている自分自身とは異なった行動様式を取る人を忌避しつ...[続きを読む]