チャーリーとチョコレート工場

(2005年 / アメリカ)

謎に包まれたチョコレート工場と、風変わりな格好をしている工場主ウィリー・ウォンカ。そんなチョコレート工場に、金色のチケットを引き当てた子供たちが招待される。

神の食べ物は誰のためのものか

チャーリーとチョコレート工場

子供の好きなお菓子といったら、ダントツでチョコレートです。ま、チョコに限らず、子供はキャンディーやアイスクリーム、ケーキなど甘いものが大好きですね(子供に限ったことではないですが)。では、なぜ子供は甘いものに目がないかというと、子供は大人より味覚神経が敏感だからなんだそうです。そのため、苦味があったり塩辛かったり酸味が強かったりする食べ物は、子供にとっては刺激が強すぎるという反応を示し無意識のうちに敬遠してしまいます。また、動物の本能として「苦いと感じるものは毒物である」という刷り込みがあるため、苦味は特に避ける傾向にあるとのこと。その点、甘みは「刺激がない」と判断されるので、安全な食べ物として受け入れやすくなるのだそうです。もちろん、人は誰でも年齢性別問わず好き嫌いの対象は異なりますが、子供が甘いもの、特にチョコレートが好きということはこうした生理的な研究から導き出されるわけです。

このチョコレート、ただ甘いだけのお菓子なのでしょうか。調べてみると、なんとチョコレートは「神の食べ物」と呼ばれているとのこと。原料となるカカオの学名が「テオブロマ(神の食べ物)」とされているほどなので、チョコマニアが勝手に名づけたものではなくちゃんとした根拠があります。カカオはマヤ文明の頃から食されていて、薬草と混ぜあわせ解熱や毒消しなどの万能薬として重宝されていて、王侯貴族の間でとても貴重なものとして扱われていたそうです。「神の食べ物」と呼ばれるのも納得ですね。現代においては、大脳皮質を刺激し集中力・記憶力・思考力を高める効果や、自律神経を調節してリラックスさせる効果、老化の原因ともなる活性酸素を除去するアンチエイジングの効果なども明らかになっています。こんなにすごい食べ物がコンビニで手軽に買えてしまっていいのか、神棚に捧げておかないでいいのかという話です。もっとも、チョコレートはチョコレートでも、ミルクなどに押されてカカオ成分が控えめになっているタイプからはあまり恩恵を得られないとのことですが。

子供はこうした事実を知ったうえでチョコレートを愛好しているのでしょうか。まさか、そんなことはないでしょう。シンプルに、甘くてとろける食感が心地いいからです。だからこそ、と言えると思うのですが、子供はチョコレートに特別な感情を抱いているはずです。他のどのお菓子よりも、チョコレートだけは別物として認識しているんじゃないかと。もしかしたら、親から「チョコを食べると虫歯になる」と制限をかけられた反動なのかもしれませんが、子供にとってチョコレートは幻想的といっていい食べ物と言えるでしょう。僕も小さかった頃、チョコレートと聞いただけで無性に胸がときめいた記憶があります。だって、「神の食べ物」ですもの。「三つ子の魂百まで」というように、子供の頃に心躍らせた食べ物の記憶というのは、いくつになっても保持し続けるものでしょう。

だから、この映画は、子供だけでなく、大人になった僕らでも楽しむことができる。小さい頃に「神の食べ物」の甘い味覚と夢想に浸った記憶があるかぎり、チョコレートを食べるということは遊園地で遊ぶことと同義であり、チョコレートを思い浮かべることはファンタジーの世界に身を置くことになるのです。映画を観終わった後、スーパーで無意識のうちにチョコレートをカゴに放り込んでいた自分自身に苦笑しはしましたけど。


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