僕の大事なコレクション

(2005年 / アメリカ)

ジョナサンは、家族にまつわる品物をなんでもコレクションしてしまうという一風変わった趣味の持ち主。ある日、祖母からもらった写真をきっかけにウクライナに旅立つことになる。写真に写った祖父の命の恩人だという女性を捜すために。そんな彼を現地で出迎えたのは、ブロークンな英語しか話せない通訳兼ガイド、目が見えないと主張するドライバー、そして犬嫌いのジョナサンをお構いなしに吠えまくる盲導犬だった。

コレクター心理は人生に通じる

僕の大事なコレクション

人が物を集めたがる心理のパターンとして、3つあげられるそうです。ひとつ目が「コミュニケーションツールとして」。物そのものよりもコミュニケーションに重き、比較的手にいれやすいものならどんどん人と交換してコミュニケーションをとろうとするが、完璧にそろえることにはあまりこだわりがない。ふたつ目が「子供の頃にかなえられなかった夢を実現する」こと。子供の頃欲しくても買ってもらえなかった反動で大人になってから完璧に揃えようとし、無意識に親への葛藤を払拭しようとするため強迫観念のように見える集め方をする。3つ目が「社会認知欲求を満たそうとする」こと。人間関係がうまくいかないなど現実に感じている不満を満たそうとするタイプで、完璧に揃えるまでやめられない傾向がある。これらのパターンからすると、物を集めるという行為にはただ単に好きだからという理由よりも、抑圧された記憶やストレスなどの心理的作用が大きいということが見て取れます。

また、男女でコレクションに対する考え方も違ってきます。男性は珍しいものや感情移入しやすいものを集める傾向にあり、これは「他の人が持っていないようなすごいもの」を手に入れることで優越感や達成感を得られることによります。同じコレクションをしている人よりも立場的に上位に立ったと思うようになるからです。一方、女性は日常的に使うものを多く集める傾向にあります。これは女性がいつでも自分を飾って、キレイな状態を保ちたいという考え方の現れ。集める対象となる物の特徴として、男性は趣味に関するグッズ、女性が洋服やアクセサリー、化粧品などになるのも上記から明らかです。コレクターがコレクターたるキーワードとしては、特に男性に顕著ですが、「完璧主義」「優越感」「強迫観念」があり、コレクションに熱心になりすぎると他の事に対して集中できなくなったり、日常生活に支障が出たりすることもあるのです。

僕も記念切手の収集をはじめ、お菓子のおまけのシール、クラシック音楽のCD、西洋文学の小説、アジア各国のポップミュージックCD、中国各都市の地図、缶コーヒーのおまけの模型などなど、長続きはしないものの一度コレクション熱に憑かれるととことん集めてやろうと息巻くことがあります。この程度であれば誰でも同じでしょうし、全財産を注ぎ込んだり誰かに迷惑をかけるほどではないので、正常の範囲内だと言えると思います。むしろ、何も対してもこだわりを持たず無関心でいるより健全なのかもしれません。

さて、この映画の主人公ジョナサンにも収集癖を持っています。それは家族にまつわる品物を何でも集めようとすること。対象の物を見つけたら(それらしきものでも彼がそうと認めた物なら何でも)、チャック袋にしまって保管するのです。他人に見せても自慢できる物ではないし、正直いい趣味とはいえないところはありますが、彼は彼で正しいと思ったことをしているわけなので、一般によくいる、周囲から理解されないコレクターに通じていると思います。そんな彼のコレクター心理が完璧主義か優越感か(これはないでしょうけど)強迫観念に基づいているのかはわかりませんでしたが、とにかく彼は自身のルーツを追ってウクライナへと飛びます。ウクライナでも、ガイドや運転手らと一緒に目的地までの旅をしながら、次から次へと物をチャック袋に収めていき、やがて最終目的地にて意外な人物との出会いを通じて彼のコレクションが報われることになります。

ジョナサンも含めて、コレクターというのは程度の差こそあれ、基本的に人生追求型の人間なんだと思います。その深層心理には完璧志向とか支配者志向(劣等感から生じる)、衝動的性行などがあるのでしょうけど、やはり対象の心理を極限まで追い求めて解明し自分のものにしてやろうというのが意識下での行動原理なんだと思います。要するに、コレクションというのは行動や結果そのものではなく、「目的」だということ。コレクションという、目標物に向かうベクトルは、まさに人生が突き進む方向であって決して回り道ではないのです。欲しくもないものをわざわざお金や手間をかけてまで集めようとする人はいないでしょう。だから、好きなだけ集めればいい。欲しいものが外国にあるのなら、そこまで行って手に入れればいい。この映画はそうしたコレクター心理を、コレクター特有の偏屈な強迫観念として描かず、コメディタッチの中でも真剣に捉えて作劇していたのが好感でした。

傍から見て異常な収集癖のある人をなだめるセオリーとして、コレクションが達成できなくても彼彼女は十分優れていて、他のことでも自分が優れていることを主張する要素はいくらでもある、ということを気づかせてあげることだそうですが、最大の愛情はやはり好きなだけやらせておくこと。もちろん、破産したり家族や日常を疎かにしないようコントロールしてあげる必要はありますが。


閲覧ありがとうございます。クリックしていただけると励みになります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です