インセプション

(2010年 / アメリカ)

他人の潜在意識に侵入してアイデアを盗み出すスペシャリスト・コブ。そんな彼に、強大な権力を持つ大企業のトップのサイトーが仕事を依頼してきた。

過度なレム睡眠は控えめに

夢は割とよく見るほうです。その日の体調や精神状態の良し悪しに限らず、週に4、5回は起床後に何らかの夢を見たと実感を持ちます。また、電車の吊革に掴まったまま居眠りをしたほんの数分の間でもはっきりとした夢を見ることがありますし、うとうとしながら夢を見ることすらあります。あと、激しい妄想癖があるので、何かに取り憑かれたように没頭している時には、現実との区別がつかなくなり、自分自身が正体不明になってしまうことも。これは白昼夢と言うべきであり本来の夢という生理現象とは異なるのでしょうが、僕はこれも夢の一種だと勝手に考えています。こんな感じなので、夢を見ない(睡眠時に)という人が信じられないくらいです。

ただしかし、夢をよく見るという表現は正確ではなく、よく覚えているといったほうが正確なようです。睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠があり、レム睡眠は浅い眠りで脳が活発に動いている状態、ノンレム睡眠が深い眠りで脳も体も休んでいる状態。また、眠りのほとんどがノンレム睡眠であり、レム睡眠に陥るのは10~20分程度だそうです。で、夢の内容をよく覚えているということはレム睡眠が長い証拠で、逆に体を弛緩させ自律神経をゆったりさせるためのノンレム睡眠が短くなっていて両者の周期が乱れている。つまり、夢見がちな人というのは、眠りにより脳の疲れが癒やされない傾向にあり、熟睡したという感覚が得られにくい。それは強い精神的ストレスが原因だとのことです。

さて、この映画は「夢」をモチーフにした作品です。人が夢を見ている時に潜在意識の奥底にまで潜り込み、その人が持つ情報を盗み出すという産業スパイが登場します。話はこれだけにとどまらず、ターゲットの潜在意識にこちらが望む行動様式を植え付ける「インセプション」という能力を駆使しながら、夢のまた夢、そのまた夢へとどんどん深い階層をたどっていきながら目的を果たそうとしていきます。夢から夢へと移っていく中で、夢の中に現れるターゲットの防衛本能(ガードマンや私兵として具現化)と戦いを繰り広げながら、現実世界や主人公の過去ともリンク。なんだか書いていて僕自身よくわからなくなってきましたが、要するに登場人物は全員眠っていて、夢の中で起こる出来事の中で躍動しているのです。

話の内容はここまでとして、この眠った状態で夢の中で活動するというシステム、作中では詳しく触れられていなかったのですが、学術的に言うとレム睡眠の時間を最大限引き延ばす、あるいは全睡眠時間をレム睡眠にしてしまうということなのでしょうか。もしそうなら、これは起きた時大変です。体と脳を休めるノンレム睡眠がないということなので、途方もなく疲労するどころではなく、指先ひとつ動かせないほどに憔悴してしまうのではないでしょうか。生死すら危うい。とまあ、SFなので心配する必要などないのですが。実際、ラストで全員目覚めた時はみんなさわやかな表情してましたし。

とはいえ、正直なところ、ものすごくテンポが早くて状況もわかりづらく、大筋のストーリーは追えたものの消化不良な点が多すぎました。僕としては作品の醍醐味を十分に満喫できなかったことは悔やまれるので、返却前にもう一度観る必要性を感じています。これは敗北感です。理解できなかったということは自分の至らなさであり、猛省すべきところであります。強い精神的ストレスを感じます。あ。これでまたレム睡眠が長くなり、見た夢を覚えているという現象が生まれるんですね。


閲覧ありがとうございます。クリックしていただけると励みになります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください