ミシェル・ヴァイヨン

(2003年 / フランス)

カリスマ的な強さを誇るカーレーサー・ミシェル率いるチーム「ヴァイヨン」が、長年の宿敵チーム「リーダー」とル・マン24時間耐久レースで決着をつけようとする。しかし、リーダーの陰謀でミシェルの仲間が事故死。さらにル・マン直前にミシェルの父が誘拐されてしまう。

興味もなしに24時間耐久できますか

ミシェル・ヴァイヨン

僕が中学生の頃、友人の間でF1が流行ったことがあります。当時は、アイルトン・セナが全盛だったこともありF1人気は世界的にもすごいものがあったと記憶していますが、F1にまったく興味のなかった僕にはその話題が始まると苦痛の時間にすぎませんでした。セナをはじめ、ネルソン・ピケやミハエル・シューマッハ、アラン・プロストなど、話を聞かされているうち有名なF1レーサーの名前だけは嫌でも覚えていきましたが、肝心のレースのほうは何度かテレビで観たところでその面白みがちっとも理解できませんでした。家では父が好きだったので、録画したF1のテレビ番組を夕食時にそれとなく見つめていましたが、超高速のレーシングカーが同じコースをぐるぐる回っているの観ても何が楽しいのかさっぱりわかりません。そのうち、F1だけでなく、インディー500だのパリ・ダカールラリーだのルマン24時間耐久だの、いろいろ話題が膨らんでいくのを横目で見ていましたが、僕にしてみれば「夢のスーパーカーが爆音をたてながらコースを激走するもの」としか見えず、どこれもこれも単なる自動車レースとしか思えませんでした。

さて、カーレースに興味のない僕が「F1もルマンも一緒だろ!」と言ったとすると、大変なバッシングが返ってくることでしょう。それは「ガンダムもエヴァンゲリオンも一緒」とか「GLAYもL’Arc~en~Cielも一緒」と捉えるのと同じことだろうかと思いますし、熱烈なガンダムファンで非エヴァ厨である僕なら、非現実的な観念論で押し通しただけのエヴァと、重厚で正統な歴史をつくり続けているガンダムを一緒にするな、と顔を真赤にして鼻息を荒らげます。それはどうしてかというと、僕はガンダムとエヴァをきちんと観ているから好悪の区別ができるのであって、そもそも一見しただけで好き嫌いを判断したり双方とも全否定したりすることはしないからです。とは言え、何かを好きになる理由というのは往々にして直感的で、それと似ているものと区別する際、具体的に説明することは難しいもの。なんとなく絵柄が好きだから、なんとなく雰囲気が好きだから、なんとなくメロディが好きだから。たいてい、こういう理由です。だから、僕もガンダム好きもなんとなくですし(少なくとも馴れ初めは)、F1だってルマンと違うということもなんとなくですが理解しています。

この映画は、僕にとって「なんとなく」F1とは違うものだろうと思っているルマン24時間レースの話。フランスのル・マン市のサルト・サーキットと呼ばれる全長13kmを超える周回コースで行われ、そのほとんどは普段が一般道として使われているのだそうです。使用する車も、F1で疾走するフォーミュラカーだけでなく、屋根付きのもOK。24時間どのチームよりも速く走り続けられるのであれば、形態は問わないということなのかもしれません。そうしたわけで、どこよりも速く走りたい、どこよりも長く走り続けたいという願望は参加チームそれぞれに共通で、映画では優勝候補の2チームの因縁をあからさまに見せつける形でストーリーが疾走していきます。妨害、陰謀、誘拐、女色、怨恨。こうした対立関係を鮮明に描いていたので、たとえテーマ自体に関心は持てなくとも面白く観ることができました。原作が漫画ということで、なるほどたしかに劇画チックではありましたがエンターテイメント性は十分。今度もし本物のF1やルマンを観戦する機会があったら、誰と誰の間に深い因縁があるなどのエピソードを把握しておけば、コースをグルグル回っているのに飽き飽きすることなく、身を乗り出しながら観ることができるかも。


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