Mommy/マミー

(2014年 / カナダ)

未亡人の女性ダイアン。ADHDをもつ彼女の息子スティーヴは、入居している施設で放火騒ぎを起こし、強制的に退所させられてしまう。ダイアンはスティーヴを引き取り、2人での生活を始めるが、感情の起伏が激しいスティーヴの衝動的な行動に頭を悩ませる。

ADHDは他人事ではない

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ADHD(注意欠陥・多動性障害)とは、不注意(集中力がない)、多動性(じっとしていられない)、衝動性(考えずに行動してしまう)の3つの症状がみられる発達障害のこと。年齢や発達に不釣り合いな行動が社会的な活動や学業に支障をきたすことがある障害であり、7歳以前に症状が現れるとされています。その具体的な特徴として、まず不注意は、忘れ物が多い、何かやりかけでもそのままほったらかしにする、気が散りやすい、話を聞いていないように見えるなど。次に多動性は、落ち着いてじっと座っていられない、過度なおしゃべり、静かにすべき場所で静かにできない。最後の衝動性は、気に障ることがあったら乱暴になってしまうことがある、他の人の邪魔をしたりさえぎって自分がやったりするなどです。このように、大きく3つのタイプに分けられるADHDですが、人によってその現れ方は異なり、多動性-衝動性優勢型や不注意優勢型といった傾向が見られるとのことです。

このADHDはかつては子供だけの症状であり、成人になるにしたがって改善されると考えられていましたが、近年は大人になっても残る可能性があると理解されているとのこと。その場合は多動ではなく、感情的な衝動性や注意力、集中力の欠如が多く、さらにはうつ病やPTSD、アスペルガー症候群でも類似の症状を呈する上に合併してしまうこともあるそうです。発症の原因はまだすべてが解明されてはいないものの、遺伝的な要素が指摘され先天的なものが大きいとの見方がされています。しかし原因はともかく、こうした要素は小さい子供であれば誰にでも見られるものなので、周囲の人に障害として理解されづらく、ただの乱暴者や親のしつけができていない子などと誤解を受けてしまうケースが多々あります。また、根本的に治療することができないのですが、ADHDによる困難の乗り越え方を学ぶ教育・療育や症状を緩和する治療薬は存在し、環境調整をしたり本人が生きやすい環境を作ることも可能とのことです。

このように、医学的に明確な治療法が確立されておらず、また特効薬も存在しないADHD。病院にかかれば解決する問題ではないため、ADHDを患う子に対する親の接し方が重要になってきます。その要点とは、子供の特性を理解することであり、これは健常な子に対しても言えることですが、ことADHDに関してはポイントになります。その具体的な接し方は大きく5つあり、「具体的な方法を示してあげる」「子供のよいところを褒める」「叱るときは何が悪いか説明し、好ましい行動も教えてあげる」「得意・不得意を理解させる」「個性と才能を伸ばす」。大事なことは、子供に自信を持たせること。そのうえで、その子の個性と才能を伸ばせる環境を作り出していくことが症状軽減の第一歩となるのです。

この映画は、ADHDを患い、それが原因で周囲で問題を引き起こしまくっている少年スティーヴを中心に展開する作品です。ですが、主題としてはADHDそのものを扱ったものではなく、スティーヴを取り巻く母親ダイアンとその友人カイラの物語だと感じました。先ほど、ADHDは接し方が重要で、さらに発症するのは子供だけに限らないと書きましたが、お世辞にも専門知識に長けているとはいい難いダイアンとカイラですが、スティーヴに手を焼きながらも、彼との接し方を徐々に掴んでいった。母子家庭を切り盛りするダイアンと、失語症に悩むカイラ(おそらく家庭環境が原因)は、これまで自分ひとりで闘ってきたのは、2人が友人になることで間違っていたことを知り、その気づきをスティーヴに還元していく。もしかしたら、ダイアンとカイラ自身、ADHDに近い精神状態だったのかもしれない。この映画は、医学教育のためのものではないのでADHDの解決法を示しているわけではありませんが、大人は誰しもADHD予備軍なのだということを暗に訴えかけているのではないかという内容で、僕も大いに思い当たる節がありましたし。


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