日本のいちばん長い日

(2015年 / 日本)

1945年7月、連合国は日本にポツダム宣言受諾を要求。降伏か、本土決戦か…。玉音放送をめぐる政府首脳の動きと終戦反対派の青年将校たちのクーデター計画が明かされる。

クーデターかテロリズムか

日本のいちばん長い日

この映画は、1945年8月14日の深夜から15日にかけて、一部の陸軍省幕僚と近衛師団参謀が中心となって起こした「宮城(きゅうじょう)事件」を基にした作品。はて、宮城事件とは……。終戦間際、それも皇居が舞台のクーデターということで、これほどの大事件を日本人として知らないはずはないと言いたいところですが、正直僕は知りませんでした。学校の歴史の授業では近現代史まで時間的に足りないため、この事件も大東亜戦争と同じく自分で調べないと真相を把握できない系ですね。特に戦後史は。なので調べてみました。事件は、政府がポツダム宣言受諾を決定したことに対し、本土決戦を主張する陸軍将校らが、玉音放送を阻止し戦争を継続させようと目論んで起こしたもの。陸軍の畑中少佐を中心に、阿南惟幾陸相や東部軍管区司令部の田中静壱大将らにクーデターの賛同を呼びかけるも拒絶されます。それでも畑中少佐らはクーデターを決行。8月15日午前2時に皇居を制圧するも玉音盤を発見することはできず、ついに田中大将率いる東部軍により鎮圧。畑中少佐らは自刃しクーデターは終幕しました。

これが宮城事件のあらましです。ところで、クーデターと聞くと、軍が王政や共和制を打倒して軍政を敷くというのが僕のイメージで、最近だと、エジプトやタイ、トルコなどで起こりました。それに、チリやミャンマーなどでクーデターで成立した軍事独裁政権が長いこと続き、ようやく民政に移管したといったニュースも耳にしたりします。なんとなくですが、クーデターは一部の過激派が起こす暴力革命というニュアンスを感じ取ってしまうので、日本で歴史的にあったどうか考えづらかったのですが、調べてみたら結構ありました。中でもいちばん有名なのが2.26事件でしょうね。陸軍皇道派の影響を受けた青年将校らが1400名の下士官兵を率い、「君側の奸」を排除して天皇中心の新たな政治体制を構築しようとした事件です。ほかにも、海軍の青年将校らが犬養毅を射殺した5.15事件、作家の三島由紀夫が自衛隊に決起を呼びかけた事件、古いところでは大化の改新とか本能寺の変などもそうですね。

クーデターの定義に則れば、形式上軍隊の存在しない現在の日本では、起こり得ないことではありますが、現在の世界的な趨勢からしてより恐れるべきことはテロリズムでしょう。テロは、政治的主張を達成するために暗殺、暴行、破壊などの暴力的手段に訴える行為のことで、対象は一般市民となります。クーデターが政権内部での権力抗争であるため一般市民が攻撃されることはないことを考えると、僕のような政治家でも政治的活動もしていない市民にとってテロのほうが圧倒的に恐怖です。特に最近は、ヨーロッパの各地でイスラム教徒による自爆テロが多発して、多くの一般人が命を奪われています。日本でも地下鉄サリン事件をはじめ、まったく無縁ではありません。クーデターもテロも政治信条が基になっていることには変わりありませんが、どちらもピュアなイデオロギー信奉からだとしても、一般人を無差別に殺害することは到底許されません。こう考えてみると、市民の賛同を得られる可能性があるのは政治的な閉塞感打破を目的としたクーデターのほうなのかもしれません。

もちろん、恣意的な意見ではありますが、その国の歴史の流れや国体を知る上で、クーデターを研究することでより理解を深められるのではないかと思いました。


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