パシフィック・リム

(2013年 / アメリカ)

深海から突然、出現した巨大で凶暴なエイリアン“KAIJU”。一度はパイロットをやめた男(チャーリー・ハナム)と、実戦経験のない新人(菊地凛子)がコンビを組み、旧式のイェーガーで戦うことになった。

世界で通用する日本語の旅立ち

日本の特撮やアニメに強い影響を受けた監督がメガホンを取ったこの映画。ですが、内容的には典型的なハリウッド的SFアクションで、CGを多用した迫力ある映像と兄弟愛、親子の絆が見どころだとしか感じませんでした。ウルトラマンやゴジラみたいに、正義の味方と大怪獣が激突するという基本思想はそのまま受け継がれているわけですが、あくまでも「ハリウッド製」であるため、作品の中に日本的要素や子供の頃見たような懐かしさを期待するのはやめておいたほうがいいと思います(菊地凛子が出ていたのが申し訳程度の日本要素)。というわけで、この映画は純粋なロボットアクションとして観るべきです。

ただ、面白いと思ったのが、全編にわたって敵方の巨大生物を「kaiju」と呼んでいたこと。英語にも怪獣に当たる単語はもちろんありますが、これはインスピレーションを受けた日本へのリスペクトでしょう。効果としては、意図的に別の言語で言い表すことで新鮮味や異質感をあたえ、これまでのどのモンスター映画とも違う特殊性を付与できたという意味で成功だったと思います。日本語が母語である僕ですらそうなのですから、英語圏以外の人でも同じように受け止めたのではないでしょうか。冷静に考えてみれば、面白味はそこだけだったとも言えてしまうわけですが。

とはいえ、今回の「kaiju」のように、日本語がそのまま世界で使われるというケースはこれだけではありません。僕がよく耳にするのは「カミカゼ」。これは日米戦を描いた戦争映画だけでなく普通の現代ドラマでも、捨て身の攻撃をするとか後先考えず突っ込むといった場面で使用されるのをよく聞きます。たしかに、行為の結果としてはその通りであるのですが、発話者からしばしば中傷や侮蔑のニュアンスが感じ取れるため、日本人の僕としてはあまりいい気持ちはしません。ですが、数多くの外来語を借用している日本語にだって語弊はあるわけで、そのままの意味で使われるのであればまだしも、まったく違う意味で通用してしまっていることもあります。この点はおあいこと考えなければいけないのかもしれません。

それでも、日本語が世界の言葉になることを前向きにとらえ、いったいどんな単語が世界共通になっているのか調べてみました。すると、sukiyaki 、teriyaki 、sakeなどの和食をはじめ、karaoke、bonsai、origamiといった文化が真っ先に見つかりました。これらは日本独特のものなので当たり前といえば当たり前なのですが、それでも評価され受け入れられていることは素直に嬉しいですね。そのほか、kaizen、shiatsu、kawaiiなど数えきれないほど見つかりました。

歴史や伝統、文化の輸出は大いに結構で、認められて現地の言葉に組み込まれていくことは素晴らしいことでありますが、逆にネガティブな言葉まで定着してしまっている例もあるので要注意。たとえば、引きこもり、過労死、ヤクザ、変態など。また、中国と韓国の反日国では、いじめ、援助交際、学級崩壊、バカヤローといった単語をそのまま発音あるいは現地語読みし、あまつさえ日本発として第三国に輸出しているケースもあります。日本人が独創的かつ発想力豊かであるがゆえに、こうした悪意ある事態も発生してしまうのです。それなら、日本人も、中国の人肉食、韓国の試し腹といった野蛮な文化をそのままの言葉で海外に発信すればいいじゃないかと言われても、日本人はそうした卑劣極まることは絶対にしません。そこが日本人の美しいところであり、隣国につけ込まれるところでもあるのですが。

とにかく、今回「kaiju」が世界デビューしたように、次はどの日本語が海外へと羽ばたくのか。予想してみると面白いのではないでしょうか。


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