SMOKE

smoke

大学生の頃、日記を付けていました。日記と言っても、毎日欠かさずその日あったことを記述していくスタイルではなく、特別思うことがあったり、書き留めておきたいことがあった時に綴るという程度だったので、本来の意味での日記ではなかったのかもしれません。でも、当時(いまでも)かなり内向的で疑心暗鬼に苛まれ続けていた僕にとって、書き殴ってはどんどん増えていくノートの数が慰めのように思えていたことは事実。初めこそ...[続きを読む]

ダンテズ・ピーク

ダンテズ・ピーク

僕がかなり小さかった頃のことですが、ドーンドーンという破裂音とともに、空気が振動するという現象が発生したことがありました。始めは、弟が2階でふざけて飛び跳ねているのかと思いましたが、それにしては音は遠いところから聞こえてくるし、何より空気が震えていることの説明がつきません。テレビを付けてみたら、理由はすぐに分かりました。大島の三原山が噴火したとのことでした。僕の実家は房総半島にあるのですが、物質的...[続きを読む]

主人公は僕だった

主人公は僕だった

短編、長編に限らず、小説を書く際にしてはならないことがあります。それは、プロットを組み立てずに書き始めてしまうこと。プロットとは、簡単に言えば「物語の構成を示した設計図」のことで、人によっては詳細なあらすじと捉える場合もあります。もっと細かく定義すると、シーンごとに起きるイベントや登場人物同志のぶつかり合いの設定、起承転結または序破急(冒頭、ヤマ場、どんでん返し、結論)の明確化、文章に緩急をつける...[続きを読む]

Mr.&Mrs.スミス

Mr.&Mrs.スミス

夫婦喧嘩のよくある原因として、「言葉使いや物言い」「生活態度」「家事」「金銭」などがあげられるそうです。これは別に夫婦に限らず、家族や恋人、また友人の間においてもあり得ることではありますが、やはり、まったくの赤の他人同士が法律上固く結ばれた関係となった夫婦の場合では、様相を異にするわけです。僕は独身なので実感ではなく想像でしか言えませんが、恋人や友人という関係と比べて、世間の視線がまったく別のもの...[続きを読む]

マイノリティ・リポート

マイノリティ・リポート

「新宿の母」というのに代表されるように、よく当たると評判の占い師がそこらかしこにいて、恋愛や仕事などの運勢を占ってもらうために長蛇の列を作るとか、場合によっては数か月待ちなんていう話を耳にします。本当に当たるからなのか、はたまたメディアで大々的に取り上げられたからなのかはわかりませんが、僕は自分の人生を知るために占い師を訪れたこともなければ、占ってもらおうと思ったこともありません。朝のテレビでスポ...[続きを読む]

生きてこそ

生きてこそ

僕は雪が軒下にまで積もる地域の出身でもなければ、年一度か二度の大雪で電車遅延に立ち往生する東京に住んでいるので、特別雪を怖ろしい存在と考えてはいません。いやむしろ、雪の予報が出ると、子供のように胸を躍らせるほどで(さすがに大はしゃぎはしませんが)、何かしらのイベントのように捉えているフシがあります。雪が降ったら、特別の防寒用のコートを着て、普段は使わないニット帽を被り、滑り止めの付いた靴を履く。そ...[続きを読む]

ザ・シューター/極大射程

ザ・シューター

ひと言に銃といっても、さまざまな種類があることはよく知られたこと。日本に暮らしている以上、現実にそれらの区別ができるほど銃を目にする機会はほとんどないわけですが、そんな中でも一番認知度が高いのは、「拳銃」と呼ばれるもの。ピストルや短銃、ハンドガンなどと呼ばれることもあり、日本では警察官や特別な公務員だけが公に携帯することが許されています。海外では護身用として一般市民が所持することは珍しくないようで...[続きを読む]

ヒューゴの不思議な発明

ヒューゴの不思議な発明

子供の頃からずっと継続していることが、僕にあるかと思い浮かべてみましたが、ありませんでした。習い事やゲーム、漫画、いくつか浮かんできましたが、熱中していたり継続はしていたものの惰性で続けていたりと、ケースはさまざまでしたが、そのうちのどれも大人になったいまになっても続けているものはありません。あれほど好きだった漫画や小説も、あれだけハマったゲームも、いまとなっては振り返ってみて何とか思い出すレベル...[続きを読む]

ポンヌフの恋人

ポンヌフの恋人

「誰かを好きになると、いままで灰色だった世界がバラ色に見える」。恋の始まりを表現としてよく使われるフレーズですね。これは別に大げさな表現でも当てずっぽうな言い回しでもないことは、一度でも恋を経験したことがある人ならわかることだと思います。あの人が話しかけてきてくれた、あの人が笑顔を返してくれた、あの人がじっと見つめていてくれた。気になっている人が自分に少しでも好意的なリアクションをしてくれただけで...[続きを読む]

ニック・オブ・タイム

ニック・オブ・タイム

「時間を盗むことはできない」。言うまでもなく当然のことですが、劇作家、特にシナリオライターと呼ばれる人にとっては、このフレーズが逆説的に作用します。現実の世界において時間は盗めない、しかし作劇においてはストーリーの進行、つまり時間の経過を視覚的に伝えるために、「時間を盗むことはできない」という常識を覆す必要が出てくるからです。具体的にはどういうことでしょうか。たとえば、シーンが切り替わる瞬間、夜空...[続きを読む]