ヒューゴの不思議な発明

子供の頃からずっと継続していることが、僕にあるかと思い浮かべてみましたが、ありませんでした。習い事やゲーム、漫画、いくつか浮かんできましたが、熱中していたり継続はしていたものの惰性で続けていたりと、ケースはさまざまでしたが、そのうちのどれも大人になったいまになっても続けているものはありません。あれほど好きだった漫画や小説も、あれだけハマったゲームも、いまとなっては振り返ってみて何とか思い出すレベル...[続きを読む]

ポンヌフの恋人

「誰かを好きになると、いままで灰色だった世界がバラ色に見える」。恋の始まりを表現としてよく使われるフレーズですね。これは別に大げさな表現でも当てずっぽうな言い回しでもないことは、一度でも恋を経験したことがある人ならわかることだと思います。あの人が話しかけてきてくれた、あの人が笑顔を返してくれた、あの人がじっと見つめていてくれた。気になっている人が自分に少しでも好意的なリアクションをしてくれただけで...[続きを読む]

ニック・オブ・タイム

「時間を盗むことはできない」。言うまでもなく当然のことですが、劇作家、特にシナリオライターと呼ばれる人にとっては、このフレーズが逆説的に作用します。現実の世界において時間は盗めない、しかし作劇においてはストーリーの進行、つまり時間の経過を視覚的に伝えるために、「時間を盗むことはできない」という常識を覆す必要が出てくるからです。具体的にはどういうことでしょうか。たとえば、シーンが切り替わる瞬間、夜空...[続きを読む]

イーグル・アイ

民主主義とか平和主義とかいう言葉を聞くと、条件反射的に「自由」を連想する人は多いと思います。そうでなくとも、束縛や隷従といった奴隷社会のようなニュアンスとは異なる、社会の成熟度や国民の教養も高い近代的な国家のことを思い浮かべると思います。その通りだと思います。ローマに滅亡させられ奴隷供給地となったカルタゴや、モンゴル帝国に蹂躙されたユーラシア大陸、スペインやポルトガルの狩場となった南アメリカ、革命...[続きを読む]

セント・オブ・ウーマン/夢の香り

僕が初めて香水を付けるようになったのは、大学生になってから。特に体臭が気になるとかというわけではなく、なんとなく「カッコつけたかった」からです。それ以外にも、高校生だと不良みたいに思われこそすれ、大学生になれば逆に対人関係における身だしなみのひとつだと考えていたことにもよります。大学に入ってすぐ付けるようになったのではありませんが、周りの学生たちも付けてるから合わせるという経緯もあり、田舎者の僕に...[続きを読む]

TAXi

僕はタクシーをほとんど利用したことがありません。したことがないというより、できるだけ「利用したくない」と思っています。別に、タクシー独特のにおいが嫌だとか、メーターが気になって落ち着かないからだとか、運転士との相性が気になるだとかというわけではなく、なんとなく「甘えている」ような気分がしてしまうからです。もちろん、タクシーを利用することが甘えているなんてことは根拠のないことです。それに、公共交通機...[続きを読む]

ナチョ・リブレ 覆面の神様

僕は学生時代、大のプロレスファンで、テレビ中継をかかさず観たり実際に観戦に足を運ぶことがよくありました。当時のメジャー団体は全日本プロレスと新日本プロレスのふたつで、それぞれファイティングスタイルに違いが異なり、前者が守勢的で玄人向け、後者が攻撃的でエンターテイメント性という色分けがはっきりとなされていました。当然、プロレスファンの間でも全日派、新日派で分かれていたのですが、僕は初め全日だけで新日...[続きを読む]

チョコレートドーナツ

生きているうちにいつかは、「普通じゃない」という言い方をしたりされることがあると思います。要するに、自分の価値観とは異なる人格や行動などに対して、直感的に感じる「違和感」の発露のことなのでありますが、その違和感の方向性がプラスかマイナスかで問われると、おそらくほとんどが後者ではないでしょうか。どこか、異星人でも見るような視線で、平準的であると信じている自分自身とは異なった行動様式を取る人を忌避しつ...[続きを読む]

スリーピー・ホロウ

そういえば、そろそろハロウィンですね。というか、「そろそろ」だなんて、日本の暦に定着したような言い方をしてしまいましたが、ハロウィンはバレンタインやクリスマスのように、日本の季節イベントのひとつとして組み込まれてしまった感があります。ただ、どうも僕には違和感が残ります。というのも、僕が小さい頃、バレンタインやクリスマスはすでにあったのですが、ハロウィンはここ数年で浸透してきたものなので、季節の風物...[続きを読む]

シティ・オブ・ゴッド

僕の親戚に、「ブラジルのおじさん」と呼ばれている人がいます。僕の立場からすると、祖父の弟なので大叔父に当たる人で、その名の通り、ブラジルに渡って永住しているからそう呼ばれているわけです。おじさんがいつ、どのような経緯でブラジルに渡ったのかは知りません。僕が彼の存在を知ったのも小学校中学年か高学年頃のことだったし、会ったのも日本に戻ってきた時に一度か二度くらいなので、仕事で赴任したのか移民として渡っ...[続きを読む]