RV

日本ではアメリカンスタイルのキャンピングカーを見ることはほとんどなく、「キャンプする」と言ったら車に寝泊まりすることではなく、キャンプ場にテントを張って野外生活をするという意味が一般的だと思います。たしかに、日本の道路事情や駐車場の確保などを考えたら、あの観光バスに匹敵する大きさを自家用車として保持することは容易なことではないでしょうし、そもそも買い物に行ったりするにも不便でしょう。というわけで、...[続きを読む]

マイ・ガール

僕が通っていた中学校では、芸術鑑賞会と題して、定期的に全校生徒が体育館に集まって映画を観る機会が設けられていました。それほど頻繁ではなかった(年に1度か2度)と記憶していますが、映画が上映される、まるまる2時間ほどが休講扱いとなったので、映画自体を楽しみにしているというより、退屈な授業がスキップされるからマシと捉えていた生徒も多かったです(かくいう僕もそのひとり)。 在校中に何が上映されたか...[続きを読む]

ブラックホーク・ダウン

1993年10月3日、混迷するソマリア情勢に解決策を見出だせずにいた国連をよそに、アメリカ軍はソマリア民兵のアイディード将軍の副官2人を捕らえる独自作戦を挙行。30分という短時間で片がつくという公算を立てていましたが、作戦中に中型多目的軍用ヘリコプター・ブラックホークが撃墜されたことで様相が一変。以後、モガディシュ市内に取り残されたアメリカ兵を救出する作戦が行われることになります。レンジャー部隊な...[続きを読む]

ズーランダー

小学校の頃は「暗いやつ」と思われることは当時の人間関係において致命的な痛手でした。だから、なるべく明るいやつ、面白いやつと思われることに躍起になっていました。いえ、ほかの同級生が皆同じように思っていたわけではありません。というもの、普通の小学生として振る舞っていればよかったからで、小学生ならではの感性で面白いことは笑い、ふざけるべきところではふざけていればよかったからです。でも、それができなかった...[続きを読む]

ラスベガスをぶっつぶせ

ギャンブルはしないことにしています。別に、倫理的に許せないとか、勤勉勤労を否定しているのが気に食わないというわけではなく、単純に「怖い」からしたくないだけです。ギャンブルを怖いと思う背景には、小学生の頃に味わった苦い記憶があり、それがトラウマとなっていまでも僕をギャンブルから遠ざけているのです。その苦い記憶というのは、言うまでもなくギャンブルで大敗したこと。それも、当時小学生だった僕にとって大金で...[続きを読む]

ジョニー・マッド・ドッグ

僕がまだ地元にいた頃、住んでいた小さい町内を、爆音を轟かせながら走り抜けるバイクの一団によく悩まされました。4、5人だったので暴走族というほどの規模ではないため、田舎ヤンキーとでも呼んでおきましょうか。彼らは、いつも大通りを(といっても片道一車線の市道ですが)猛烈なスピードと爆音で駆け抜け、時にはスピーカーから大音量の音楽を垂れ流したり、いい気になって奇声を発したり、とにかくやりたい放題といった感...[続きを読む]

チキンとプラム~あるバイオリン弾き、最後の夢~

ふと「あれ、自分って何なんだろう」って思って立ち止まることがよくあります。別に、前後不覚に陥ったとか正体を失ったとか、そんな大げさなことではないのですが(ま、それに近いですが)、自分が何という名前でどんな人生を送ってきてどんな家族構成をしているのかが瞬間的に頭から消え失せてしまうことがあります。そういうのはたいてい一時的な現象で、ほんの少しだけ時間をおけば「何だったんだ、いまの」という感じに元通り...[続きを読む]

パリ20区、僕たちのクラス

フランス語にはやはり憧れます。なぜそう思うかという確固とした理由はありません。しいて言えば、フランス語を話せる、あるいは理解があるというだけで教養人とか文化人を連想してしまうからでしょうか。外国語として習得しなければならないのはもちろん英語ですが、「英語話せます」と言うとちゃんと勉強してきた人とか仕事できる人という印象を持ちますが、「フランス語できます」だと芸術家とかロマンチストが真っ先にイメージ...[続きを読む]

扉をたたく人

ニューヨークに観光で行った数日間、地下鉄の構内で楽器を演奏している人をよく見かけました。ニューヨークの地下鉄では、ホームや構内での演奏を希望するミュージシャンはまずオーディションを受ける必要があり、それに合格した人が演奏場所を押さえることができるとのことで、タイムズスクエアなどの大きな駅でオーディションを通過したと思われるレベルの高いバンドによく遭遇しました。地下鉄利用客も彼らの演奏を歓迎している...[続きを読む]

ゴーストライター

現在の職業に身を置く前は、ずっとライターをしていました。ライターと言ってもピンからキリまであるわけですが、僕が携わっていた業界は新聞と求人。前者は新聞社系列の編集プロダクションでテレビ局と連動した記事を書いており、後者は広告代理店の求人サイトに掲載する会社紹介文などを書いていました。両方とも(特に前者は)ライター個人の特徴を出さない淡々とした文章が是とされていたので、いわゆる小説とかエッセイといっ...[続きを読む]