シャッター アイランド

精神科が設置されている病院には、閉鎖病棟あるいは隔離病棟と呼ばれる病棟があります。任意入院のそれとは構造が異なり、文字通り出入り口が施錠され、自由に出入りできない病棟のことです。そこに入院するのは、急性期の精神疾患で興奮のために不穏、多動、暴力といった行為が認められる患者。具体的には、自傷や自殺の恐れがある、本人が意識しない自傷的な行為がある(自傷行為や自殺念慮)、他傷の恐れがある(急性期の統合失...[続きを読む]

王になった男

男と女が入れ替わったり、貧しい家の娘が王子から求婚されたり、動物が人間の魂を取って代わったり、現実ではあり得ない逆転現象というのはしばしば漫画やドラマの題材にされますね。この映画もその類だろうと高をくくり、いろいろ調べてみると、設定自体は創作だったということよりもっと興味深い事実が浮かび上がってきました。それは、本作の主人公光海君という人物は朝鮮朝の王における「暴君」のうちのひとりだということ。た...[続きを読む]

パディントン

パディントンに限らないのですが、クマという動物は可愛らしくて愛嬌のあるキャラクターとして描かれることが多いように思います。ミッキーマウスやトムとジェリーなどのように、あちこち動き回ったりピョンピョン飛び回っているのではなく、どこかのんびりキョトンとしている感じ。検索してみると、くまのプーさんをはじめ、リラックマ、ファーファ、ブラウン(LINE)、モモとコモモ(ソネット)、くまモンなど、すでにお馴染...[続きを読む]

25年目の弦楽四重奏

日本にいるときはクラシックコンサートにはまったく足を運ばない僕ですが、ヨーロッパではそれぞれの国ごとに聴きに行ってました。いや、日本人が演奏するクラシックが嫌いなわけでなく、なんとなく日本本来の音楽ではないから気分が乗らないため、わざわざ聴きに行くまでもなく、海外の有名なオーケストラのCDを聞けば十分だと思っているからです。そんな僕がなぜヨーロッパでは足繁くクラシックコンサートに通ったのか。それは...[続きを読む]

デリカテッセン

肉食か菜食かと聞かれると、ちょっと困ってしまいます。普段食事するときは、外食の場合は栄養のバランスをほぼ気にせず直感的に選んでますし、自分で調理する場合も肉を調味料と炒めるか生野菜をボールに開けて食べるかなので、どちらに極端に偏っていることはないです。ま、そもそも人間は雑食なので単純に肉か野菜かで区別することなんてできないわけですが、どちらかと言えば、肉食のほうでしょうか。とは言え、海の幸山の幸が...[続きを読む]

ジャンヌ・ダルク

いまとなっては世界史上の人物というより、ソーシャルゲームの最高レアキャラとして認識されることが多くなってしまった感のあるジャンヌ・ダルク。貴い生まれではないごく普通の少女がある日、神のお告げを聞いたことでフランス軍を率いることとなり、敵対するイングランド軍を蹴散らすというヒロイックなエピソードがファンタジーっぽくて、スマホ向けのゲームではもはや欠かせない存在となっているのはたしかなこと(北欧神話も...[続きを読む]

マンイーター

「ワニ 人食い」で検索すると、身の毛もよだつようなレポートともに、大きな口を開けた巨大なワニの画像が見られるサイトがいくつもヒットします。中でも、人食いワニと紹介されており桁違いのスケールを誇る「イリエワニ」には戦慄せざるを得ません。体重が1トン以上もあり体長の平均は6mといいますから人間が素手でかなうはずがありません。目の前を通り過ぎるものは何でも食べてしまうという点からして勝てる気がしませんね...[続きを読む]

マイ・ビューティフル・ランドレット

この映画は、パキスタン系でロンドンに住む青年オマールが、友人であるイギリス人のジョニーとコインランドリーの経営を成功させ、ジョニーとの男同士の恋情を深めていくという話。しかし、特にビジネス要素があるわけではなく、旧宗主国と旧植民地との溝は埋まらないながらも、社会的立場が逆転したオマールとジョニーの密な関係を描くことにスポットを当てた作品です。国同士では慣習的な上下関係が存在すれど、個人単位ではそれ...[続きを読む]

ラスト・オブ・モヒカン

「モヒカン」と聞くと条件反射的に、北斗の拳のヒャッハーを思い浮かべるのは僕だけではないはず。そう、「ヒャッハー!!」と奇声をあげながら我が物顔に改造バイクを暴走させるチンピラのことで、身の程知らずにもケンシロウに手斧を振り上げるも一瞬で秘孔を突かれて死ぬ雑魚キャラ。こいつらはだいたい、頭の両脇を刈り込み中央部だけ高々と伸ばした髪型、つまりモヒカン刈りをしています。そのため、印象が強烈すぎ、本来指し...[続きを読む]

ミスティック・リバー

「贖罪」。どんな意味か聞かれて正確に答えられる人はどれほどいるでしょうか。もちろん、罪滅ぼしとか罪を償うとか、言葉の置き換え的な説明は誰でもできると思いますが、ここで焦点としているのはその原型的な意味。もうこのへんで宗教的なにおいがして途端に神との対話みたいな高尚な解説に発展しそうな雰囲気なのですが、調べてみるとたしかに僕には高尚すぎました。そもそも贖罪とは、人間の罪と苦しみからの解放を意味し、広...[続きを読む]