タイピスト!

(2012年 / フランス)

50年代のフランスを舞台に、“タイプライター早打ち大会”にすべてを懸けるヒロインを描く。

タイピングは命がけ

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僕はタイピングがとても苦手で、いまでもブラインドタッチが下手くそです。まぁ、それでもパソコン必須のこの時代、使わざるを得ない状況の中、多少なりと改善してきて、レアな文字を打つ以外はキーボードを見なくてもタイピングできます。僕の場合、コーディングやらプログラミングやらで英字を打つ機会が相当あるので、漢字変換を伴う日本文よりは早く打てると思います。でも、ブログを書くときは当然日本語なので日本語で打つわけですが、打つたびに自分のタイピングスキルの乏しさを思い知ることになるのです。まず僕は、狙ったキーをドンピシャで打つのがとても苦手で、たいていは隣のキーと引っかかって意図しない文字列ができてしまいます。こうなると間違ってタイプしたところまでバックスペースで戻らざるを得ず、それが頻繁にあるのでストレスが溜まる一方。最近のIMEは優秀で、こういうタイプミスを補正してくれるので助かってますが、スピードは一向に上がりません。タイプしては戻って、タイプしてはまた戻っての繰り返し。ブログを書く以前よりは少しはマシになったと思ってますが。

実は、ウィンドウズが普及して日常生活においてパソコンが当たり前の存在になる前から、僕はワープロのキーボードには親しんでいました。ブラインドタッチとはいかずとも、キーの配置はある程度覚えていたのですが、なんと当時はかな入力。これがスタンダードだと思っていたのですが、のちにローマ字入力のほうが覚えるキーは少なく、一般的だということでローマ字入力に転向しました。ただ、かなとローマ字のどちらが速いかというと諸説あり、母音と子音を打たないといけないローマ字のほうが打鍵数が多くかなに劣るなど、かな入力の優位を訴える声が目立つ気がします。でも、周りってだいたいローマ字入力ですよね。両者の間に圧倒的な差が生まれるとは思えないので、今後僕はかなに回帰する予定はまったくないです。というわけで、ワープロはローマ字で打つようになりましたが、その頃は中学生だったのでビジネスで活用するという考えは一切なく、年賀状の宛名を打ったり、暇つぶしでタイピングゲームをして遊ぶくらいが関の山でした。

僕が就職活動を迎える頃、「PCスキル」というものが選考に大きな意味を持つようになりました。つまり、ワード、エクセル、そしてタイピングの速度です(パワポは当時そんなに存在感なかったです)。もちろん、タイピングが速いだけで内定もらえるわけじゃなかったですけど、面接中にタイピングスキルを聞かれたことがよくあったし、派遣の登録では大きくモノを言うことを知りました。ブラインドタッチできるかできないかで、どう答えてたか覚えてませんが、「得意ではありませんが、かな入力もできます」みたいな言い逃れをしていた記憶があります(かな入力もうできなくなってましたが)。なので、焦って電気屋でタイピング練習ソフトを買って猛練習したものです。その頃は、北斗の拳とかガンダムとかアニメを題材にしたソフトが数多く売ってて(いまも?)、パッケージに「お前はもう打てている」なんていうキャッチが踊っていたのを覚えています。僕はこれで夢のブラインドタッチができるものと思いましたが、できませんよね。まず指の配置がこうで、というのが大嫌いで、最初のうちはキャラクターのボイスが聞けるので面白がってやってましたが、これは就職のためだと思い返した頃には、冷めてやらなくなっていきました。

さて、この映画はタイプライターを超速で打つ女の子ローズが主人公。田舎から都会に出て保険会社に勤めるようになったローズは、上司のルイにタイピングの才能を見出され、タイピングの全国大会優勝を目指して猛特訓を始めます。最初は一本指でタイプしていたローズでしたが、10本の指で打つよう矯正されると、さらなるスピードアップに成功。1分間に500文字以上が絶対条件の中、ローズはルイとの共闘でタイピストとしての頂点を目指すというストーリーです。

僕が物心ついた頃にはタイプライターはもう一線を退いていたので、当然僕は見たことも触ったこともありません。映像で観たままの印象ですが、あれ、大変そうですね。キーで打った文字は直接紙に印字されるので、ミスは絶対に許されません。バックスペースキーはあったようですが、後退するだけで文字は削除されなかったといいますから(当たり前ですね)。いまでもバックスペースキーとデリートキーのお世話になりっぱなしの僕には、まったくもって論外の機器と言えそうです。それにしても、英語を中心とするアルファベットを使用する言語圏ならまだしも、日本は一体どうしていたのでしょう。調べてみると、ひらがな、カタカナ、漢字が混在する和文タイプライターの文字数は2400文字。機器も英文のものより複雑な構造になっており、目的の文字を探すのには経験と知識を要するということだったらしく、一般人が気安く使えるものではなかったことがわかります。たとえ教本に「お前はもう打てている」なんてキャッチが踊っていても、あまりに気が遠い作業で頭がどうかなって、打てるようになる前に本家のセリフみたいに死んでしまいそうです。

なので、僕はぜひこの映画の日本版を作ってほしいと思いました。2000以上ある活字が不手際によって散乱することがあり、正しい配列に直さないと正しい文字は打てないという、トラップまみれの和文タイプライター。これは絶対に盛り上がります。キャッチフレーズは「我がタイピングに一片の悔いなし!」とかどうでしょう(一文字も仕損じないことが命がけという意味で)。


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