プレミアム・ラッシュ

(2012年 / アメリカ)

人と車が激しく行き交うニューヨーク。究極のテクニックで大都会を疾走するバイクメッセンジャー、ワイリーは、ある日、知り合いの中国人女性ニマから1通の封筒を託される。だが、これが悪夢の始まりだった。

メッセンジャーが運ぶもの

いまでこそ、書類はデータ化してインターネットで手軽に送れる時代になりました。ですが、インターネットがなかった頃、あるいは原本を送付しなければならない場合については、宅配業者を利用することが一般的でしょう。で、真っ先に思いつくのが、郵便。民営化されたとは言え、手紙をはじめ小包を送るという業務に変わりはなく、それにどんな小さな町にも郵便局は1軒はある(たぶん)身近なものなので、やはりいまも昔も配達をお願いするときは郵便局に行くというのが誰もが共通の認識だと思います。その次は、クロネコヤマトを筆頭とする一般宅配業者でしょう。こちらはコンビニが集荷を受け付けていたり、ネットショップが委託していたり、観光地の土産物屋と提携していたりするため、業者の営業所に直接持ち込むことはないかもしれませんが、誰もがどこかしらの業者と荷物のやり取りをしたことがあることと思います。郵便にしろ宅配業者にしろ、近距離なら翌日(出す時間による)、遠くても2、3日程度(離島は除く)で届くので便利ですね。ただ、人手不足とアマゾンの取扱量が多すぎることで問題になった業者もありましたが。

たとえば、自家用車や電車で持っていけるような距離だったら、そもそも宅配業者に頼むことはありませんが、大至急でなければお願いしたほうがいろいろと便利です。苛ついてる取引先に、直接出向いて手渡さなくて済むとか。とは言え、1時間後の会議で使う資料を会社に忘れてきてしまったとか、あと30分で窓口が閉まる前に契約書を届けてほしい、といったシチュエーションもたびたび発生します。社内に手すきの人間がいなかったり、普通に持ってきたのでは到底間に合わないケースだとしたら、どうでしょう。クロネコヤマトとかに頼んでいたら、集荷の待ちと手続きで時間が過ぎ、当日着すら無理でしょう。そこで活用されるのが、バイク便というフットワークの軽さを売りにしたサービス。実際、電話して集荷に来てもらって届くまで30分以内は難しいにしても、受け取った荷物を直接配達するので、まず一度拠点に持ち帰って仕分けする郵便や大手宅配業者より断然早いです(ケースバイケースですが)。僕は利用したことはありませんが、都心のビジネスタイムではよく見かけます。

で、この映画のテーマとなっている「メッセンジャー」は、要するにバイク便の自転車版。機動力ではトラックやバイクにはかないませんが、道路の渋滞や交通規制の影響を受けにくかったり、排出ガスを出さなかったりする点で評価されているそうです。企業間の急ぎの荷物(書類や原稿など)、出版関係では原稿や写真フィルムなどでよく利用されていて、主に5km以下の輸送で重宝されているとのこと。欧米ではかなり一般的に利用されていて、ファッションやスタイルの粋を凝らせた独自の文化が発達しているそうです。さて、日本ではどうでしょうか。僕はほんの数度しかメッセンジャーを見かけたことはないのですが、競輪の選手みたいな格好なので運動中の人かなと思いきや、腰に大きな無線を巻きつけているのでそれと気づきます。ところで、大都会にのみ根を張れる業種だと思います。それだけ都会はせわしなく、待つ余裕もない。おそらく、こんなふうに考えてしまうだけで、僕のような鈍重な田舎者は都会の混沌に疲れている証拠だと思いますけど、それ以上にメッセンジャーの人はどう感じているのだろう。もしかしたら、メッセンジャーとは、都会のプレッシャーを送る人なのではないかと考えてしまいました。



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