長ぐつをはいたネコ

(2011年 / アメリカ)

捨て猫だったプスは、孤児院で幸せに暮らしていたが、ある日、兄弟分のハンプティ・ダンプティを助けようとして無実の罪を着せられてしまう。故郷を追われ、お尋ねものとなったプスは、とある街で久しぶりにハンプティと再会。二人は失われた絆を取り戻すため、謎の美女猫キティも加え、伝説の金の卵を求める大冒険へと旅立つ。

グリム童話ってこんなハッチャケてましたっけ

長靴をはいたネコ

「あれ? こんな話だったっけ?」。この映画を観て、僕がまっさきに漏らした言葉。と言っても、本来のストーリーを正確に記憶しているわけではないのでネットで調べてみたら、この映画と共通しているところはネコが長靴(ブーツ)を履いているということだけでした。さすがに、幼児向けの映画ではないのでオリジナルをそっくりそのまま描くことはしていないことはわかりますが、別にタイトル合わせなくてもいいのではと思ってしまいました。僕が小さいころ読み聞かせてもらったであろうストーリーでは、ふたりの兄からいじめられていた三男は遺産としてネコを与えられますが、そのネコはとても利発で機転を利かせて三男を王様に引き合わせ高い爵位をもらい受ける、なんていう感じだったと思います。でも、映画では、孤児院で育ったネコが仲間の卵男やメス猫と伝説の金の卵を求めて旅に出るというもの。別に主人公はネコじゃなくたってよかったし、長靴を履く意味すらなかったような……。あ、もしかしたら、制作陣もタイトルだけオリジナルをもじって、内容はまったく別物だと考えていたのかもしれませんね。

「あれ? オリジナル?」。ここでいうオリジナルとは、言うまでもなくグリム童話の長靴をはいたネコ、つまり僕が幼少の頃親しんだものに相違ないわけですが、作者のグリムに言わせれば「それはオリジナルではない」ということになるでしょう。というのも、長靴をはいたネコをはじめ、シンデレラ、白雪姫、赤ずきんなど、僕らが知っているグリム童話というのは「本当は怖い」ものだからです。それに、グリム兄弟は「私らが書いたのは童話ではない。あれは民話集だ」と言うでしょう。というのも、彼らは民話研究家であり、各地に伝わる人間の恐怖や欲望を寓話的に編集し、子供向けに体系化したものがいわゆるグリム童話であり、そのすべてを彼らが1から創作したわけではないからです。だから、最近になって「本当は怖いグリム童話」なんていう本がいくつか出版されて、グリム兄弟は本当は残酷だったんだとかいう声がちらほら聞こえてきますが、グリム兄弟に言わせれば「本当は甘っちょろくなグリム童話」ということになるんです。昔から伝わる民話には、誠実に生きていればいつか報われることより、悪くことをすると必ず罰が下るという訓戒の意味合いが強かったんだと思います。

「あれ? じゃあこの映画は何が言いたかったの?」。わかりません。最新のCG技術を駆使すれば、ネコの毛並みや鳥の羽毛などリアルに表現でき、どんな事物にだって命を吹き込むことができる、ってことを言いたかったじゃないですかね。3DCGを駆使すれば、こんなに面白い表現を実現することができるんだから、ストーリーなんて二の次でノリで通してしまえば万事OK。ラストはみんなで楽しくダンスさせればお客さん満足してくれるよ。……まさかそんなことはないでしょうけど、残念ながらそんな気がしちゃいました。


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