ビッグ・リボウスキ

(1998年 / アメリカ)

無職でだらしない生活を送る中年男・デュードが、同姓同名の大富豪・リボウスキ氏と間違えられ、富豪婦人誘拐事件に巻き込まれる。

特殊な姓名で掴める幸運はあるか

ビッグ・リボウスキ

「リボウスキ」という苗字について、どういう出自を持つものなのかわかりませんが、話の文脈からしてアメリカでも相当珍しいものなのだろうと推測されます。なんとなく、ロシアか東欧あたりにルーツがありそうという察しはつきますが、スミスとかジョンソンとかウィリアムズとかが大手を振るっているアメリカで、リボウスキ姓はいたとしてもかなりマイノリティとなるでしょう。ところで、作品の中で、マジョリティに属するジョンソンが隠語として使われてたけど、何かの深い意図があったのかは不明です。ともあれ、この映画の主人公のデュークは、自身の性がリボウスキであることが災いし、別のリボウスキと間違えられ、散々な騒動に巻き込まれてしまうという筋書きです。

どこの国にも、苗字が同じ、あるいは同性同名であるためにトラブルが引き起こされることは、よくあること。日本でも、佐藤や鈴木、高橋などは何万世帯という単位で存在しているので、呼びかけたら3、4人から反応が返ってきたり、予約待ちの記名で後から来た佐藤さんが間違って通されたり、といった場面に何度か遭遇します。ただ、彼らも慣れたもので、複数の佐藤さんが衝突しそうなったら、両者とも穏便に解決しているようです。お互い様ってことなんですかね。ちなみに、僕の苗字自体はそれほど珍しいものではありませんが、読み方が一義的でないので、さまざまな呼ばれ方をされてしまい困惑することがあります。でも、たいてい僕のことを言ってるんだってことはわかりますけど。

人を呼ぶとき、苗字にさんを付けて呼ぶのが普通なのは日本くらいでしょう。もちろん、親しくなったら下の名前で呼ぶこともありますが、それでも苗字に君付け、もしくは呼び捨て、あるいはニックネーム(ヤマさんとか、野田っちとか)で呼ぶほうが多いような気もします。そこまで日本人が苗字にこだわるのは、もともと「家」を中心とした氏族集団だったからであり、だからこそ日本には独自の苗字の種類が実に多い。でも、そうだったら、世界一になるはずですが、実際のナンバーワンはアメリカで100万以上、日本は30万ほどだそうです。アメリカは世界各地からの移民で成り立っているので、こうなるのも当然といえば当然で、アングロ・サクソン系からコーカサス系、アジア系、ヒスパニック系、あらゆる苗字を持った人たちがいます。日本とは毛色が違うのです。

だから、リボウスキという、ロシアか東方から来たような苗字はアメリカでは珍しいけど、なくはない、という認識がアメリカ人にはあるのかもしれません。だって、かつて日本で、ラモス瑠偉とか呂比須ワグナー、闘莉王といった外国人が帰化して役所に届け出た苗字に、僕らは違和感につままれたはずです。明らかに当て字、漢字が意味をなしていないなど、いろいろ訝るからです。そう考えてみると、リボウスキさんが日本に帰化しようとして、苗字に漢字を当てようとしたら大変な騒動になるのではないでしょうか。冷静に考えてみたら、そのまま「リボウスキ」でいいとは思いますが、そうではなく強引に「李某鋤」とすることだってできてしまうのです。

たしかに、日本国内で他には絶対にない唯一の姓にはなれますが、何かの標的になったら絶対に逃げられません。つまり、この映画の内容に当てはめれば、同性の李某鋤さんがいないので盾になってくれる人がいない(おかしな言い方ですが)。名前を呼ばれるたびに訂正させないといけない僕の場合、佐藤や鈴木とは言わなくとも、伊藤とか井上とか、誰でも知ってて間違えようのない苗字が欲しかったけど、李某鋤なんて論外ですよ。


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