ヤギと男と男と壁と

(2009年 / アメリカ)

戦場記者ボブは、中東で極秘部隊を遂行しているリンと出会う。リンによると、アメリカ国防総省が敵の考えを読み、壁を通り抜け、睨むだけでヤギを殺す超能力部隊を組成したというのだ。

超能力部隊はニュータイプ部隊の先駆けか

80年代ごろからアメリカで実際に存在したという超能力部隊。「ジェダイ計画」というコードネームで、超能力兵士を育成するという構想に着手していたそうです。能力は段階的にレベル分けされていて、まずレベル1は「椅子の数やコンセントの位置など細かい部分にすぐ気づく能力」。レベル2は「直観力」。レベル3は「察力と現実とのつながりを理解し人から見えなくなる能力」。そして、レベル4ともなると、念ずるだけでヤギの心臓を止める能力を身に付けていたとのこと。こうしたスーパーエリート部隊の存在により、遠隔透視で敵をスパイし、超能力で核爆弾を無効化し、念じるだけで簡単に殺す。また、自らを不可視化し壁をすり抜けることもできる。とまぁ、こんな具合に、でも超真面目に研究が進んでいたようです。ちなみに、わが自衛隊にもこうした部隊は存在し、陸上自衛隊調査部において、通信所からマイクロ波を人間の頭部に発射してテレパシー通信しているのだそうです。というわけで、世界の軍隊では割りとトレンドなのかもしれません。

そういえば、ガンダムシリーズでは「ニュータイプ部隊」というものが存在し、主人公側を大いに苦しめる展開がお約束のように出てきます。ニュータイプの定義は、一般的には、認識能力の拡大により人並み外れた直感力と洞察力を身につけ、並外れた動物的直感と空間認識能力を持ち、独特のサイコウェーブ(脳波)を発する人のこと。ですが、ギレン・ザビによる「ニュータイプは人の革新」というスペースノイドを正当化するための詭弁、単にパイロット特性がある人のことを指す別称化など、さまざまな捉え方があります。とにもかくにも、ニュータイプを専用機に搭乗させると、サイコミュと呼ばれる脳波と兵器を連動させる機器により圧倒的な戦果が期待できるわけで、マチルダ中尉曰く軍ではそれなりに研究が進んでいるようです。ニュータイプは初め、エスパーのようなものという超能力保持者的な認識にすぎませんでしたが、やがてニュータイプ部隊の編成により殺戮集団として運用されるようになります。純粋なニュータイプではなく、人工的にニュータイプ的能力を植え付けられた強化人間が主軸でした。

というわけで、現代の超能力部隊は、もしかしたら来るべき宇宙世紀におけるニュータイプ部隊の先駆けとなる存在なのかもしれません。いまでこそ、スプーンを曲げたり、箱の中身を透視したり、遠くの標的にショックを与えるすることが主なお仕事なのかもしれませんが、いつしか研究が実り、物理的な兵器など及びもつかないほど、人類を大量殺傷することが可能な能力への開花につながるかもしれません。そうだとしたら、マチルダ中尉じゃなくとも「軍では本格的に将来のニュータイプ部隊創設への研究が進んでいます」と考えざるを得ません。晴れて部隊の隊員になれたとしても見込みなしと判断されるや、強化人間リスト入りでしょう。ま、おバカ映画として製作されているわけですし、宇宙世紀といったって明日から始まるわけではないので、深く考えることではないといえばそうなのですが、可能性はなくはないということで、ひとつ。


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