ゴーストシップ

(2002年 / アメリカ)

40年以上も前に1100人の乗客と共に消息を断った豪華客船を発見した海難救助隊員たちに次々と恐怖が襲いかかる!

幽霊船遭遇も立派な超常現象

この映画を観て、バミューダ・トライアングルのことを思い出しました。バミューダ・トライアングルとは、フロリダ半島の先端、プエルトリコ、バミューダ諸島を結んだ三角形のことで、その海域を船や飛行機が航行するとまるで神隠しに遭ったかのように姿を消してしまうというミステリーは超常現象に関心がない方でも聞いたことのある話だと思います。有名な実例として挙げられるのが、1945年のアメリカ海軍アヴェンジャー雷撃機失踪事件。「白い水が……」との無線を最後に消息を絶ち、その後救出に向かったマーティン・マリナー飛行艇も同海域で謎の失踪した事件は、当時世界中の話題をさらい、この事件を中心にまとめられた論文で使用された「バミューダ・トライアングル」が以後、航空・海洋関係者を震えあがらせるワードとなりました。

この超常現象の代名詞とも言えるバミューダ・トライアングルは、いまもって科学的に解明されたわけでなく、ブラックホール説だの宇宙人説だの突拍子もない仮説がまことしやかにささやかれています。ですが、同海域はもともとハリケーンや霧の多発地帯として知られていて、悪天候時の操縦ミスや計器確認ミスが原因で事故が起きるケースが多いのだそうです。しかも、周辺に目印となる島や構造物もないため遭難しても救助されにくく、また同海域には強力なメキシコ湾流が流れていて短時間で航空機や船舶の残骸が遠くに流されてしまうとのこと。というわけで、おそらくバミューダ・トライアングルが世界的に有名な超常現象となってしまった理由は、その発端となったアヴェンジャー雷撃機失踪事件の報道があまりにミステリアスすぎたため、人知を超えた現象として認知されてしまい、一介の都市伝説から飛躍してしまったからではないかと思います。そういえば、ミステリーサークルもそんな感じでしたし。

このバミューダ・トライアングルを思い出したのは他でもありません。この映画では、40年以上前に船員ならびに乗客が皆殺しに遭うという怪事件とともに消息を絶った豪華客船が、ベーリング海のとある海域で見つかり、トレジャーハンターたちがそこに積まれたお宝を目指すというストーリーが描かれています。突然発見された理由はさておき、その海域の潮流の関係とかで近海に現れず、アメリカ沿岸警備隊も把握していなかったといいます。なんとなく、バミューダ・トライアングルの後日談といいますか、散々捜索しても発見されず真相は闇の中となった船舶(あるいは航空機)が、ある日突如として姿を現すイメージが想起されます。そこから現れるのは、宇宙人に改造された人類抹殺兵器か、救助されなかった怨念を剥き出しにした魑魅魍魎か。この映画では幽霊でしたが。

ここでまたひとつ思い出しました。今年の3月8日、クアラルンプール発北京行きのマレーシア航空MH370便がタイランド湾上空で消息を立ち、現在も行方不明となっている事件です。事件発生後、当該国のマレーシア、消息を絶った地点付近のタイとインドネシアをはじめ、日本やアメリカ、中国なども捜索隊を派遣していますが、機体の一部すら見つかっていない状況です。その海域は特に海難・航空事故多発地域でないということもあり、この乗員乗客200人以上が瞬時に消え、残骸や痕跡すらも残されていない事件について、テロや陰謀説が幅を利かせるようになりました。その中でも、乗客に中国・華為技術のエンジニアが含まれていたという事実。華為技術は欧米から「技術スパイ企業」と疑われているだけでなく、中国が異様な物腰で彼らを捜索しているとのことです。かねてから欧米の諜報機関はそういった連中をマークしているはずで、この事件に関してはハリケーンとか霧が原因ではなく、人為的な意図が含まれているようにも思えます。真相がどうであれ、トレジャーハンティングのノリで機体を発見して戦争の引き金を引いてしまうというのは映画だけにしてもらいたいものです。


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