ラスベガスをぶっつぶせ

(2008年 / アメリカ)

驚異的な数学力を巧みに操ってカジノで数百万ドルを稼ぎ出した、マサチューセッツ工科大学の天才学生の実話に基づく頭脳派サスペンス。

ラスベガスに行けば自分自身がわかる

ギャンブルはしないことにしています。別に、倫理的に許せないとか、勤勉勤労を否定しているのが気に食わないというわけではなく、単純に「怖い」からしたくないだけです。ギャンブルを怖いと思う背景には、小学生の頃に味わった苦い記憶があり、それがトラウマとなっていまでも僕をギャンブルから遠ざけているのです。その苦い記憶というのは、言うまでもなくギャンブルで大敗したこと。それも、当時小学生だった僕にとって大金であった1,000円。トランプの何だったかは忘れましたが、負けては意地になってまた負けるという繰り返し。最終的に2,000円近く負けたのですが、相手方(当然、同級生)がイカサマを使っていたということで情けで減額してもらい、その日持ち合わせがなかったため後日彼に1,000円を支払ったのでした。この時の屈辱と苛立ちと言ったら。それ以来、僕は金銭の授受が伴うギャンブルは一切していません。

というわけで、競馬、競輪、競艇、パチンコ、スロット…には一度も食指を伸ばしたことがありません。麻雀やトランプは賭けではなく純粋にゲームとしてだけ遊ぶことが確認できない限り、やりません。宝くじや競馬は収益の何パーセントかを国庫納付金として納め社会貢献の一貫をなしている側面はありますが、だったら初めから寄付すればいいわけで手を付けません。そもそも、競馬などをやる人は一攫千金が目的であり、社会貢献を第一に考えているわけがないでしょう。パチンコに関しては完全に軽蔑しています。あのクソうるさいホールに1分たりとて留まっていたら、たちまち頭が狂ってしまいバカになってしまうことでしょう。とまぁ、全国のホール数は17年続けて減少中で、売り上げは最盛期の3分の2に落ち込んだということは歓迎すべきです。しかし、それでもまだ全国での売上が20兆円もあるとのことで、どれだけの日本人がこの違法スレスレの産業にお金を落としているのか、考えただけでも頭がおかしくなってきてしまいそうです。

では、カジノはどうなのでしょうか。ここ最近、東京オリンピック開催時の外国人客を見込んだカジノ法案(IR推進法案)がにわかに現実になりつつあり、年内を目処に成立するなんて話も聞きますが、法案を基にカジノが設置されるのですから合法に違いありません。安倍総理は成長戦略を日本人が担うのではなく、外国人に頼ろうという姿勢を隠そうともしていませんが、とにかくこのカジノ法案もその一環というわけです。なお、このカジノ法案は経済波及やパチンコ根絶の効果だけでなく、外国人増加による治安の悪化、ギャンブルを公営化することの倫理的問題、運営企業に外資を参入させることなど、賛否さまざまで、早急に法案成立させることを不安視する声もあります。

そんな日本のカジノ論議をよそに、街全体でギャンブルをエンターテイメントとして盛り立てている街があります。言うまでもなく、アメリカ・ラスベガスです。完全に観光地化していて旅のみやげ話に小額つぎ込むお上りさんのかげに、本格的なギャンブラーが隠れてしまっている印象がなきにしもあらずですが、ラスベガス自体をカモにして稼ぎまくる一団があります。それがこの映画の主人公たちです。彼らは「カウント」と呼ばれる手段を使ってカードの配布パターンを読み、天才大学生ベンを筆頭に、ブラックジャックで勝利を重ねていきます。そして気づいたら億万長者になっていて美人の恋人もできて、でも仲間同士でいがみ合いが起こり、ベンの親友から距離を置かれるようになり、最終的には奈落の底に落ちていく。というストーリー的には既視感満載で、特に目の引くところのない凡作でした。

お金が増えていくのは純粋に羨ましいと思うのですが、それで周りからちやほやされたり美人とセックスできたり美食三昧の生活をしたりするというのは、僕としては残念な人としか映らず正直目も当てられません。さらにもっと救いようがないのは、そうした彼らが自らのステータスが向上したと勘違いして有頂天になってしまっていること。この映画ではそういう様子が当然のように描かれており、僕は何度観るのをやめようと思ったか知れません。ほどほどに限度をわきまえて遊ぶ分には何も言いませんが、ギャンブルで成功して億万長者になった人に対しては尊敬などするはずなく心底軽蔑するし、逆に借金まみれになってしまった人は憐れむことなどするはずなく心底情けなく思います。小学校の頃のトラウマを理由にしてはいますが、これが僕がギャンブルをしない本当の理由です。


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