カテゴリー別アーカイブ: サスペンス

ゼロ・ダーク・サーティ

この映画は、9.11同時多発テロの首謀者とされるオサマ・ビンラディンの居場所を突き止め、やがて暗殺へと至る道筋を開いた、CIA分析官の活躍を描いたサスペンス。ビンラディン暗殺(2011年5月2日)のニュースは日本でも親の仇を取ったかのように大々的に報じられたため、悪の首魁ついに討たれるというニュアンスで記憶に残っている方も多いと思います。僕も9.11の衝撃と同じくらいのインパクトを感じたのですが、...[続きを読む]

コロニア

本作は、一度入ったら二度と出られない狂信的組織からの脱出劇という触れ込みですが、注目すべきは脱出した若い男女よりも、その組織「コロニア・ディグニダ」そのものだと思います。狂信的という意味合いからすれば、誰もがかつてのオウム真理教事件を思い出しますね。そのイメージとして、彼らは一般社会から隔絶した地域で、強大な権力を持ったアイコン的存在のもとで独自の集団生活を営み、日々、神との邂逅だとか超常現象の発...[続きを読む]

アンノウン

男性が女性に惹かれる理由、女性が男性に惹かれる理由はさまざまあると思いますが、端的に言ってしまうと「異性だから」に落ち着くと思います。別に同性愛者を否定しているわけではありませんが、やはり人間のみならず他の生物でも男女の区別はあり、それぞれが交わって子孫を残していかねばならない宿命を背負っていることを考えると、性的魅力が前提に立たないと惹かれるものも惹かれないと言えるのではないでしょうか。もちろん...[続きを読む]

灼熱の魂

灼熱の魂

この映画を観て以来、お盆やお正月には帰省して両親の顔を見る、お米がなくなったら実家に連絡して送ってもらうといったことを当然のこととしている僕は、なんと脳天気な人生を送っているのだろうと実感するようになりました。これまで、両親の存在はもちろん、自分が生まれた経緯、そして自分を取り巻く環境に大難が起こらず実に平和に生きていることのありがたさなんて、これっぽっちも考えず過ごしてきました。両親に感謝を捧げ...[続きを読む]

シャッター アイランド

精神科が設置されている病院には、閉鎖病棟あるいは隔離病棟と呼ばれる病棟があります。任意入院のそれとは構造が異なり、文字通り出入り口が施錠され、自由に出入りできない病棟のことです。そこに入院するのは、急性期の精神疾患で興奮のために不穏、多動、暴力といった行為が認められる患者。具体的には、自傷や自殺の恐れがある、本人が意識しない自傷的な行為がある(自傷行為や自殺念慮)、他傷の恐れがある(急性期の統合失...[続きを読む]

ミスティック・リバー

「贖罪」。どんな意味か聞かれて正確に答えられる人はどれほどいるでしょうか。もちろん、罪滅ぼしとか罪を償うとか、言葉の置き換え的な説明は誰でもできると思いますが、ここで焦点としているのはその原型的な意味。もうこのへんで宗教的なにおいがして途端に神との対話みたいな高尚な解説に発展しそうな雰囲気なのですが、調べてみるとたしかに僕には高尚すぎました。そもそも贖罪とは、人間の罪と苦しみからの解放を意味し、広...[続きを読む]

プレミアム・ラッシュ

いまでこそ、書類はデータ化してインターネットで手軽に送れる時代になりました。ですが、インターネットがなかった頃、あるいは原本を送付しなければならない場合については、宅配業者を利用することが一般的でしょう。で、真っ先に思いつくのが、郵便。民営化されたとは言え、手紙をはじめ小包を送るという業務に変わりはなく、それにどんな小さな町にも郵便局は1軒はある(たぶん)身近なものなので、やはりいまも昔も配達をお...[続きを読む]

グランド・イリュージョン

僕はテレビでしかイリュージョンを見たことないため、リアルに目の前で展開されて得られる感動というものはついぞ味わったことはありません。テレビで見ても面白いと言えば面白いのですが、どうしても編集されているという読みが働いていしまって感興は巻き起こらず、なんとなく「ふーん」と鼻を鳴らしながら見終えるというのがいつものパターンです。見せ場のシーンでは思わず唸ることもありますが、どうせ「なーんだ」と笑ってし...[続きを読む]

天空の蜂

東日本大震災による福島第一原発事故がきっかけで、日本全国で「原発は危険」というイメージが固定し、各地で反原発運動が起こりました。「脱原発」とか「原発やめろ」とか書いたプラカードを掲げたりシュプレヒコールをあげながら繁華街を練り歩くデモ隊の様子が、よくテレビで報道されていたことを覚えています。この動きが盛り上がっていくにつれ各地の原発が停止に追いやられ、その結果、火力発電所が休眠だったものも含めてフ...[続きを読む]

日本のいちばん長い日

この映画は、1945年8月14日の深夜から15日にかけて、一部の陸軍省幕僚と近衛師団参謀が中心となって起こした「宮城(きゅうじょう)事件」を基にした作品。はて、宮城事件とは……。終戦間際、それも皇居が舞台のクーデターということで、これほどの大事件を日本人として知らないはずはないと言いたいところですが、正直僕は知りませんでした。学校の歴史の授業では近現代史まで時間的に足りないため、この事件も大東亜戦...[続きを読む]