素敵な相棒 フランクじいさんとロボットヘルパー

(2012年 / アメリカ)

息子が連れて来たヘルパーのロボットに抵抗感を抱きながらも、徐々に元気になってきた元宝石泥棒のフランクは、ロボットとのコンビで宝石強盗を計画する。

ロボットの進化を止めるな

二足歩行型ロボットといえば、僕らの世代だと完全にアニメの中の話でした。奇抜な造形の近未来型建築物が立ち並ぶ中、スターウォーズのC-3POみたいな人型ロボットが、あれこれ主人の世話をするという描写がよく見られました。小さい頃の僕は、大人になったらああいうロボットの1台や2台はかしずかせているものと思っていましたが、さすがに現実は追いついてきません。でも、日本のロボット技術は着実に進歩を遂げています。工業用ロボットの枠を超え、一般的に身近な存在となったのは、何と言ってもソニーの「AIBO」でしょう。1999年に登場した犬型ロボットのAIBOは、ユーザーとのコミュニケーションを介して成長するように設計されており、声や手を叩いた音に反応して所定の動作を行ったり、感情に相当するプログラムにより機嫌や成長度合いに応じた反応を示したりすることができました。爆発的人気を誇ったこのAIBOですが、2005年に生産終了。2014年3月末に修理対応が打ち切られました。しかし、これで日本のロボット開発の火種が消えてしまったわけではありません。

そうしたロボット関連の話題を一挙にさらったのが、2014年にソフトバンクから登場した「Pepper」。このPepper、何がすごいのかというと、人間の感情を理解したうえで会話ができるということ。学習した人間の感情(それに対するリアクション)は、データとしてクラウド上で他のPepperと共有されるので、さらに精度の高い感情理解ができるとのこと。実際、ソフトバンクショップで店員として稼働中とのことで、接したことのある方もいるかと思います。また、2016年5月には、シャープがロボット型スマホ「RoBoHon(ロボホン)」を発表。20センチほどの小さなロボットですが、電話やメール、写真撮影などスマホ従来の機能を会話や動きを通してインタラクティブに伝えたり、目的地を教えると地図やルートをプロジェクターで見せてくれたりします。さらに、顔認識機能により、が知っている顔を見つけると名前を呼び掛けて写真を撮ってくれたり、旅先などで立ち止まった風景を自動で撮影してくれたりもするそうです。PepperもRoBoHonも値段(約20万円)がネックではありますが、数年後にはかなり普及しているのではないかという可能性を感じさせますね。

さて、この映画のテーマである介護ロボットですが、こちらの開発はどこまで進んでいるのでしょうか。4人に1人が65歳以上という超高齢社会であり、介護現場の人手不足が深刻化している日本において、介護ロボットは注目を浴びてはいるものの、研究開発および実用化が思うように進んでいないのが現状です。PepperやRoBoHonのような娯楽性の強いロボットと違い、高齢者の移乗介助や排泄支援などを担う介護ロボットには、安全性や市場価値などの面で課題がまだまだ残されているからです。それでも、認知症高齢者の見守りをサポートする技術や、要介護者の自立を促す技術、介助者の身体的負担を軽減するための技術などでの開発は進んでいます。二足歩行の人型ロボットがテキパキと動き回るのではなく、介助者が高齢者を抱える際に装着するパワーアシストのようなものなどがそうです。半数以上の介護施設が人手不足を感じている中、超ハイスペックの介護ロボットが介護従事者の負担を軽減する日が来るのは、まだまだ遠いというのが現実のようです。

でも、PepperやRoBoHon、あるいは市場参入することを発表したソニーやトヨタが作るロボットだって、十分に介護の役に立てるのではないかと考えます。介護の現場をまったく知らない僕が言うのもおこがましいですが、高齢者が強く求めているのは話し相手だと聞きます。都会で一人暮らしをする高齢者の中には、話し相手欲しさに警察に嘘の連絡をしてまで話をしたがる人もいるそうです。だったら、介護ロボットという枠組みは忘れて、ひたすら話し相手になってあげるロボットを開発すべきです。これまでのロボット技術の蓄積を活用すれば、きっとできるはずです。それに、ロボットなら介護に疲れて高齢者を虐待することなんて絶対にあり得ません。ロボットとだけ会話するというのも人間的におかしいかもしれませんが、都会で孤独死する高齢者が多いことを考えれば、むしろロボットは人間以上に人間らしく振る舞うことも可能ではないでしょうか。もちろん、ロボットには高齢者の世話を完璧にはこなせないので、会話や表情を通じて異変を感じ取ったら、家族や専門機関に連絡するとか、方法はいろいろあるはずです。

ところで、近い将来、年老いた僕の傍らにいるのがロボットだったなんて話が本当にありそうで、怖いやら不安やらではありますが。


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