バンテージ・ポイント

(2008年 / アメリカ)

演説中に発生した大統領狙撃事件の真相を、8人の目撃者の異なる視点と8つの時間から解き明かしていくリアルタイム・アクション!

8人ロールプレイング映画

バンテージ・ポイント

ひとつのストーリーを別々の登場人物の視点で見せて、いくつかに小分けされた断片的なエピソードをラストで集約させるっていう手法は割とよくありますね。

時系列がバラバラだったり、物語が結果から発生へと逆に進行していったりする実験的な作品とは異なり、直線的な時間軸という原則を壊さず、その瞬間ごとに各々が直面した状況に筋を通しラストへと持っていかなければならないんだから、言うまでもなく脚本家の力量が問われます。

なので、こういった手法の作品は完成度的にも構成的にも万全を期さないといけないため、相当練りこまれてつくられているのだと思います。だから、複雑すぎて一回観ただけではストーリーを追えないことが多い。こういうのはすべての登場人物が主人公とも言えるので、「あれ、あの人、なんであそこで泣いたんだろう?」とか、たとえラストがなんとなく理解できても、なんか置いてきぼりにされてしまった感じがして、変なもやもやだけが残ることがしばしば。

だからもう一回観ないといけなくなります。観れば観るほど味わいを感じられる人ならいいのでしょうが、基本的にひとつの作品は一回しか観ず、一度だけの鑑賞の余韻に浸る派の僕にとっては無念そのもの。なんだか制作側の営業戦略に引っかかった気もしてしまいます。

ですが、この映画に関しては問題ありませんでした。むしろ、ストレートな時系列の作品を見ているのと変わらないほど流れは自然でした(脚本家にとっては悔しい意見かもしれませんが)。正直言ってしまうと、「別にわざわざ視点を分けて見せなくてもよかったのでは?」という気もしないではないですが、視点の切り替わりごとに犯人へと通じるポイントが解明されていくので、いちいち古い記憶をたどっていく手間がかからず一切のストレスは募りませんでした。

僕としては、映画は学術的に観るのではなく、単純にエンターテイメントとして観たいので、たとえ趣向を凝らしたとしも「観客にストレスを感じさせず楽しませる」ことを忘れていない映画に出合えることは無常の喜び。90分という長編としては比較的短時間ですが、始終動き回っている内容だったのでそれ以上に感じました。満腹感とはこのことでしょうか。


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