カテゴリー別アーカイブ: は行

100歳の華麗なる冒険

もし100歳まで寿命があるとしたら、いったい僕はどんな100歳を迎えているのでしょうか。おそらく、というか、確実に衰えていて歩行や食事すらままならず、さらには重度の介護認定されていることも考えられます。一人暮らしなんか絶対にできるはずがなく、周りの人の助けを借りて、そして周りの人の時間を奪いながら生きているということになっているんじゃないかって思います。100年生きるということは大変なことです。最...[続きを読む]

フランシスコの2人の息子

僕は趣味で楽器を弾くのですが、あくまでも個人的な趣味であって、誰かに聞かせたり誰かと一緒に演奏したりすることはしません。また、音楽を聴くときも、家の中でステレオから流して聴くとか、通勤時や公園のベンチに座ってスマホからイヤホンを通して聴いたりする感じで、他の人と一緒に盛り上がりながら聴くということはしません。別に、音楽好きを隠しているわけではなく、他の人の演奏に嫌悪感を催すからというわけでもなく、...[続きを読む]

フランス組曲

1940年6月、フランスはドイツ軍によってパリを占領され降伏。ドイツのポーランド侵攻でドイツに宣戦布告した後はしばらく戦火を交えることはありませんでしたが、突如として起きたドイツのオランダ・ベルギー侵攻後、わずか1ヶ月後にパリが陥落し、フランス第三共和政は崩壊しました。6月22日に休戦協定が締結、7月10日には自由地区のヴィシーに親ドイツのフランス政府が成立。形式的にはフランスにヴィシー政府の主権...[続きを読む]

火の山のマリア

この映画のテーマとなっているのが、南米の先住民族であるマヤ人。メキシコ南部から中央アメリカ北部にかけての地域に居住するアメリカ州の先住民族であり、多数派のスペイン文化に大きく影響を受けつつ伝統的な生活を続けています。「マヤ」と聞くと即座にマヤ文明を想起する通り、紀元前後から16世紀頃までスペインの侵略を受けるまでの大文明を築いてきた人たちのことです。そのマヤ文明の歴史をたどってみると、3世紀には低...[続きを読む]

東ベルリンから来た女

東ベルリンから来た女

ヨーロッパ旅行中、ベルリンの壁を見に行きました。それが、ドイツのベルリンという都市を東西に分断するためにそびえ立っているものだということは幼い頃には何かで知っており、学生になってから、その壁がハンマーで叩き壊わされる映像が頻繁にテレビで流れたのを強烈な印象とともに記憶しています。なので、僕自身がリアルタイムで見聞きした歴史をこの目で見られるということに興奮していたのですが、実物を目にするや、高速道...[続きを読む]

ひつじ村の兄弟

アイスランドの田舎村で牧羊を営むグミー(主人公・弟)とキディー(兄)は互いにすぐ近くのところで暮らしているにも関わらず、まったくの疎遠状態で協力して事に当たるということをしません。無言の牽制をし合っている感じで、一方が頭抜ければ他方が妬んで足を引っ張ろうとします。憎しみ合っているわけではありませんが、本当は赤の他人になりたいのに、血縁という外すに外せない足かせが無用に関係を煩わしくさせているといっ...[続きを読む]

プレミアム・ラッシュ

いまでこそ、書類はデータ化してインターネットで手軽に送れる時代になりました。ですが、インターネットがなかった頃、あるいは原本を送付しなければならない場合については、宅配業者を利用することが一般的でしょう。で、真っ先に思いつくのが、郵便。民営化されたとは言え、手紙をはじめ小包を送るという業務に変わりはなく、それにどんな小さな町にも郵便局は1軒はある(たぶん)身近なものなので、やはりいまも昔も配達をお...[続きを読む]

僕はラジオ

知的障害者と聞くと、つねに「あーあー、うーうー」と唸っていて、突然癇癪を爆発させて暴れだすという負のイメージが抜けきりません。僕が小学校、中学校の頃にこういう生徒がいて、幾度となくそうした様子を目撃してきた経験が強く作用しているからでしょう。結局彼らは、健常者と一緒に学校生活を送ることができず養護施設に入れられたということも、僕が彼らを理解することができない要因のひとつだったかと思います。先生の指...[続きを読む]

「僕の戦争」を探して

「ビートルズ」ってだけで、目を爛々と輝かせながら何時間も延々と語れたり、ゆかりのグッズに囲まれて生活をしていたり、カラオケで彼らの曲しか歌わないという人の話はよく耳にします。いわゆるマニアと呼ばれる人たちのことですが、そこに偏屈な信奉者、蒐集家といったニュアンスはほとんどなく、どことなく高尚な雰囲気すら感じてしまいます。ビートルズはポップミュージックという大衆的なジャンルのミュージシャンではあるの...[続きを読む]

ハドソン川の奇跡

この映画の下地となった、2009年1月のUSエアウェイズ1549便不時着水事故は、当時ニュースで大々的に取り上げられていたので、僕もよく覚えています。事故の原因や経緯以上に、乗客や一般人が携帯のカメラで現場の写真を撮ってツイッターなどのSNSで投稿したことで、これまでの報道の在り方を根底から覆すきっかけとなった事故として強く記憶に残っています。テレビよりも早く第一報を送ったのは、近くを航行していた...[続きを読む]