CUBE キューブ

(1997年 / カナダ)

ある日突然、巨大な立方体の部屋に閉じ込められてしまった男女6人。様々な殺人トラップが仕掛けられた極限状態の中、彼らは決死の脱出劇を繰り広げる。

極限状況下で最後に生き残る人とは

すごく安直な連想ですけど、この映画を観てルービックキューブを思い出さない人はいないのではないかと思います。一面が3×3の正方形で構成された立方体のパズルは、1980年の日本での発売以来、爆発的な人気を獲得。正規品だけでも発売から8か月の間に400万個以上という売り上げを記録したそうです。この現象は日本だけでなく、もちろん世界的にもブームとなり、世界キューブ協会(WCA)という組織が作られ、2年に一度世界大会が開かれているとのこと。競技方法はいくつかあり、普通に早業で色を揃えるものから、片手や足を使ったり目隠しをして解くものまで、さまざまなようです。また、単に色を揃えるだけでなく、「H」「T」「凹」「+」といった文字や記号の模様をつくったり、小さいキューブが大きいキューブの中に入っているような模様にしたりする解法もあるとのことで、遊び方も一辺倒でないところがいまも世界中で愛されている理由なのかもしれません。

さて、このルービックキューブ、僕ももちろん遊んだことはありますが、本当に苦手でした。一面、二面の色を揃えることはできるものの、そこから先に進みません。全面同色のそれを見たのは買った当時だけという惨憺たる首尾に終わり、もうそれっきりどこかにやってしまいました。僕が小さい頃は、クリスマスプレゼントの定番だったので、たいていの同級生は持っていたので、その中で相当の手練に出くわすと、人知れず劣等感に苛まれたことを思い出します。いまでこそネットで検索すれば、ルービックキューブの攻略法がたくさん出てきますが、たとえそれを読み込んだとしても僕はキュービスト(ルービックキューブの愛好家)にはなれないことでしょう。好きか嫌いかなのではなく、僕はこういう先の先を読むゲームというのが本当に不得手だからです。

将棋やチェスなどの対戦ゲームでは、つねに相手の出方や癖をうかがいつつ、一手二手先を見通すという姿勢が勝利を得る近道であることは言うまでもないことです。僕もそういう戦法が最良であることはわかってはいるのですが、どうもゲームになると理知的になれず感情で動いてしまう傾向があります。だから、言ってしまえば「力押し」。とにかく後先考えず目の前に見える面の色だけを揃えようとするので、他の面のことなど思考が及ぶことがありません。だから、一面、運が良ければ二面できてから、もう手が尽くせないことを悟り嘆くのです。猪突猛進型だとか無鉄砲だとか計画性がないだとか、僕なりに反省して熟考してから手を付けるべきだと考えを改めましたが、今度は石橋を叩きすぎてから渡るという、臆病者に近い思考パターンが身に付いたまま現在に至っています。

難解に見えることも落ち着いて考えてみれば、何の事なく答えはすぐ見つかるというケースは多々あります。そういったケースというのは、自分自身で難解に見ていただけであって、なんでもないことを難解に塗り替えていたということがほとんどです。だから、ルービックキューブの達人がものの数秒で全面の色を揃えてしまうということは、実は神技でも何でもなく、ちょっとしたコツを掴めば誰でもできることなのかもしれない。いや、コツというよりかは、八方塞がりで絶体絶命で手のつけようのない状況でも、焦って物事の順序を忘れず冷静に考えられる人こそが達人になれるのかもしれない。そして、達人とは最後に生き残る人ということでもあります。この映画の登場人物一人ひとりにルービックキューブをやらせてみたとしたら、ラストシーンと同じ結末になるんじゃないかなと思いました。


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