「巡礼」なんて大げさなものではありませんでしたが、僕もある地点を目指して海外を旅したことがあります。その地点とはカンボジアのアンコールワットです。香港からスタートして陸路を伝ってカンボジアまで行くというもので、この旅自体の最終目的地はシンガポールだったのですが、旅を思い立ったきっかけがアンコールワットだったので、実質的にはそこにたどり着くことで旅の目的を果たしたと同じことでした。40リットルくらい...[続きを読む]
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画家と庭師とカンパーニュ
高校2年の時に同じクラスになって知り合った友人がいました。友人と言っても、仲が良かったグループに偶然居合わせたといった感じの存在で、僕自身は他の友人とはよくしゃべっていたものの、その彼A君とはそれほど親近感を感じることはありませんでした。特にウマが合わないとか近づきがたい雰囲気があったというわけではなかったのですが、なんとなく直感的に気を許せない何かを感じていました。そんなわけで、A君と行動を共に...[続きを読む]
ル・アーヴルの靴みがき
簡単にストーリーを紹介してしまうと、靴磨きの老人マルセルがアフリカからの密航者イドリッサを自宅に匿って目的地のロンドンに送る手助けをするという話です。本来であれば、マルセルが取った行為は密航者を隠匿する犯罪行為であり、描き方次第で切迫感あふれるクライムサスペンスになるところですが、この映画にはそうしたダークな面は一切ありません。むしろ、舞台となった北仏ル・アーヴルに降り注ぐやわらかい陽光のように暖...[続きを読む]