マンイーター

(2007年 / オーストラリア)

美しき大自然に囲まれたオーストラリアの世界遺産、カカドゥ国立公園。観光客を乗せた人気のリバークルーズ船が突如水中からの攻撃を受けて沈没。対岸の島への脱出を図る彼らを狙って水中の超巨大な影が動き出す。

話し合いが無理なら距離を置こう

マンイーター

「ワニ 人食い」で検索すると、身の毛もよだつようなレポートともに、大きな口を開けた巨大なワニの画像が見られるサイトがいくつもヒットします。中でも、人食いワニと紹介されており桁違いのスケールを誇る「イリエワニ」には戦慄せざるを得ません。体重が1トン以上もあり体長の平均は6mといいますから人間が素手でかなうはずがありません。目の前を通り過ぎるものは何でも食べてしまうという点からして勝てる気がしませんね。ほとんどの獲物は丸飲みしてしまい、すーっと近づいてきて鋭い歯で噛みついてとどめを刺すと獲物を咥えたまま水の中に消えていく様を一度動画で見てしまうと、思い出すだけで背筋が凍る思いがします。しかも、絶望的なことに、イリエワニには天敵がいないようです。実際、イリエワニに限らず、世界各地でワニによって人間が襲撃され命を落とすというケースが後を絶たず、1匹だけで80人以上もの人間を襲ったイリエワニもいるそうです。イリエワニの胃袋の中に人間が丸飲みされた形で発見されることが多い……って蛇足でしたね。

このように、今後他の動物がどう進化しようと世界最強生物の座は安泰であるようも思えるイリエワニですが、壊滅的な減少に瀕したことがありました。天敵がいないはずのイリエワニですが、ワニ革目当ての狡猾な人間には太刀打ちできなかったのです。ワニ革はハンドバッグやベルトなどの高級素材として知られていますが、イリエワニの腹側のうろこは他の種と比べて小さくて皮をなめすのが簡単であり、形も適当であることから最も高値を付けられているとのこと。この革をめぐって、特に1945年から1970年の間では大規模な狩猟が制限無しに行われました。いまでは、度を過ぎた狩猟に歯止めをかけるため、ワシントン条約でワニ革の取引を制限する措置がとられ、世界的にイリエワニの保護体制は整ってきています。オーストラリアやパプアニューギニア、インドなどではイリエワニの数は安定してきている一方、スリランカやベトナムなどでは密猟や害獣として駆除されてしまったりして各地の足並みは揃っていないといえます。

人間を無差別に捕食してしまうのではあれば、革になってくれたほうがありがたいような気もしますが、そこは人間の身勝手な解釈ゆえでしょう。ワニに対しては人間を襲うというイメージがどうしても強いため、大規模な駆除の対象になってしまうのですが、実際のところ事故はワニの生息地に不用意に近づいてしまったために起こるケースがほとんど。人間側が気をつけて接すれば未然に防ぐことが十分に可能なのです。観光でワニ見学クルーズに参加するにしても、ワニを見に行ってやるという上から目線ではなく、彼らの生息地にお邪魔させてもらうという意識でないと永遠にワニは悪魔のままになってしまいます。これは世界中に生息するどんな動物に対しても言えることですが、乱獲や乱開発など人間側のエゴがもたらした逆襲は自業自得であり、ワニが怒るのは当然のこと。人間が都合よく彼らのことを侵略者としてのエイリアンとして思い描き、自らを被害者と考えるのが問題なのです。

この映画に関しては、そのどちらでもない、人間の馬鹿さ加減が引き起こした惨劇でしたが。


閲覧ありがとうございます。クリックしていただけると励みになります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です