パーフェクト・ゲッタウェイ

(2009年 / アメリカ)

地上の楽園ハワイ。その地で1組のカップルが殺され、“犯人も1組のカップルらしい”というニュースが流れる。時を同じくして、ハワイ観光を楽しんでいた3組のカップル。開放的な場所ゆえに共に行動していた6人だったが、そのニュースを聞くやいなや不穏な空気が流れ始め、全員がこの中の誰かが犯人ではないかと疑い始める。

地上の楽園と現実逃避の相性

この映画の舞台となっているハワイ。僕は一度も行ったことないのですが、抜けるような青空とエメラルドグリーンの海、白い砂浜という華やかなイメージくらいは持ち合わせています。数々のテレビ番組や映画の舞台となってきたこのハワイ。行ったことないにせよ知っておくに損はないと、ちょっと調べてみました。おそらく、僕を含む大多数のハワイ未経験者が「ハワイ」と聞いて思い浮かべるのが、ワイキキビーチでしょうね。オアフ島の中心地ホノルル市内に位置する珠玉の砂浜は、旅行ガイドやムック本の巻頭を飾る常連スポットとして目にしたことがない人はいないはず。ビーチ周辺はホノルルにおける最大のリゾート地として、ホテルやコンドミニアム、ショッピングセンター、飲食店などが立ち並び、一年中観光客で賑わっているそうです。また、ビーチまではほとんどのホテルから歩いていけるとのことで、水着姿の家族連れやサーフボードを抱えた若い男女が行き交うという、常夏のリゾートならではの光景も名物といったところでしょうか。ちなみに、ワイキキビーチは人工砂浜だそうで、年々砂浜の面積が狭くなってきていることから、2011年より250万ドルを費やして砂の補給を行い、砂浜の幅を約10メートル以上拡大することにしたとのことです。

しかし、ハワイはオアフ島だけではありません。国際空港があるのがホノルルなのでまずオアフ島が注目されるのは仕方のないことですが、ハワイはハワイ島、マウイ島、オアフ島、カウアイ島、モロカイ島、ラナイ島、ニイハウ島、カホオラウェ島の8つの島と100以上の小島により構成されていて、それぞれの島に個性があり、あらゆる層の観光客を魅了してやまないとのこと。アウトドア・アドベンチャーが豊富なカウアイ島、ハワイ先住民の文化に触れられるモロカイ島、ホエール・ウォッチングが人気のマウイ島、世界有数の活火山キラウエア火山を有するハワイ島など、自然の魅力が満点だからこそリピーターが後を絶たないのでしょうね。僕はリゾート満喫派ではなく、都市の造りや歴史的遺産に感心を引かれるほうなので、それほどハワイに魅力は感じていないのですが、一度行ってみたらその魅力に取り憑かれてしまうことと思います。そして、帰国した瞬間にまた行きたくなってしまう“ハワイ中毒”にかかってしまうのではないかとも。おそらく、芸能人をはじめ、数多くの日本人が長期の休みが取れたらハワイを目指すのも、こうした中毒症状によるものなんだろうなと思います。

さて、映画では、ハワイ諸島の最北端に位置するカウアイ島にて物語が進行していきます。カウアイ島は「庭園の島」という異名を持ち、長い歳月と天候によって形成されたエメラルド色の渓谷、尖った山頂や険しい崖、熱帯雨林、分岐した川、連なる滝が目玉。カヤックやシュノーケリング、ハイキングなど、アウドドア派にはたまらないアクティビティが満載の島と言えます。そんな現実逃避するにはもってこいの魅惑の島で、カップルを狙った殺人事件が発生。犯人も男女カップルだということで、ハネムーンでカウアイ島にやって来た主人公カップルは、トレッキングの最中に知り合い行動を共にすることになったもう一組のカップルが犯人なのではと気が気でない。そして、もう一組。目的地までの相乗りを断ったカップルもいて、そちらの動向も怪しくてどちらからも目が離せないというジレンマに陥っていきます。観る人の視点が完全に固定している中、あっと驚くどんでん返しが待っている、という内容です。

ラストの一部始終については語りません。では、なぜロケ地をハワイ、それもカウアイ島にしたのかについて考えてみたいと思います。あくまでも個人的な感想であることを前提にして、その答えを導くには映画のタイトル「パーフェクト・ゲッタウェイ」の「getaway」の意味を調べてみる必要があります。逃走とか逃避がそれに当たるわけですが、少し押し広げれば現実逃避としても捉えられるはずです。そうです。「庭園の島」との神々しい異名を持ったカウアイ島はまさに現実逃避するにうってつけの場所で、仕事で消耗した後の長期休暇で滞在するにこれ以上の場所はないと考えられます。しかし、それにしても、ハネムーンで訪れるのに現実逃避という言葉はマッチしないのではないでしょうか。現実逃避とはあくまでも、過酷な実社会を避け打ちひしがれた精神を癒やすための行為とあるわけなので、幸せいっぱいの新婚さんには当てはめてほしくないものです。では、口ではハネムーンで来ていると言っておきながら、実際はハネムーンではなかったとしたら。彼らの本当の現実逃避の目的とは……。怖いですね。これからは、現実離れした魅惑の秘島なんて旅行の選択肢から外そうと考えているビビり症の僕がいます。


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