RV

(2006年 / アメリカ)

ビジネスマンのボブの家族はバラバラ。そこで彼はハワイへの家族旅行を計画するが、上司からの命令で急遽コロラドに行く羽目に。仕事が入ったとは口が裂けても言えない彼はキャンピングカーでのコロラド旅行を思いつき、家族に隠れて仕事をしながらの旅行を決行する。

車の旅は人間関係修復の効果あり

日本ではアメリカンスタイルのキャンピングカーを見ることはほとんどなく、「キャンプする」と言ったら車に寝泊まりすることではなく、キャンプ場にテントを張って野外生活をするという意味が一般的だと思います。たしかに、日本の道路事情や駐車場の確保などを考えたら、あの観光バスに匹敵する大きさを自家用車として保持することは容易なことではないでしょうし、そもそも買い物に行ったりするにも不便でしょう。というわけで、日本のキャンピングカー保有台数は約8万台程度で、自動車保有台数約8000万台の0.1%程度の状況とのこと。これは欧米に比べると50~100分の1くらいの普及率だそうです。筋金入りのインドア派の僕からしてみれば8万台でも多いなとの感想ですが、キャンピングカーといってもトラック級の大型なものから、キャンピングトレーラーと呼ばれる牽引式のもの、ワンボックスカーをベースにしたワゴンタイプもあったりで、300万円前後でフル装備のものが買えるようで、割りと選択肢があり手に入れやすいことも日本で10万台近く普及している理由なのかなと思いました。

ただ、日本におけるキャンピングカーの活躍どころは、やはり本家のアメリカの足元にも及ばないようです。アメリカには、キャンピング旅行をする人が必要な施設やサービスが整った、RVパークと呼ばれるアウトドア用滞在施設が数多くあり、利用者には駐車場のように区切られたスペース(サイト)が割り振られ、そのスペースごとに充電ケーブルや排水給水のポンプがセッティングできるようになっているとのこと。まさに給排水のできないキャンピングカーのための施設であり、RVパークは国立公園や観光都市、街のちょっと郊外には必ずといっていいほどあるそうです。日本にもRVパークはあるのですが、電源は提供されているものの、サイトは見るからに駐車場といったスペースで、あくまでも車中泊のための施設であってキャンプ場ではないので車外での調理はできないそうです(ちなみに数は全国で30箇所ほど)。お国の事情もあるため、どうしてもアメリカと同じことができるわけありませんが、アメリカの映画やドラマで観たキャンピングカー生活に憧れてしまうとちょっと肩透かしを食らってしまいそうです。

この映画を観てキャンピングカーでの休暇に憧れる人もいるでしょうけど、おそらく別の意味でも憧れといいますか心惹かれるのではないかと思います。それは家族関係の再生です。よく旅行を共にするとメンバー間の結束が強まっていがみ合っていたのもウソのように忘れてしまうということをよく聞きます。飛行機や船、大型の乗合バスだと他の乗客もいて、移動中にそのメンバーだけで過ごす空間とはならないけど、その点、車ならメンバーだけで独占できます。だから、子供たちとの間に溝を作っていた主人公一家が、当初予定していたハワイ旅行をキャンセルし、キャンピングカーでコロラドまでの旅行に変更したのは大成功だったわけです(成り行きでこうなったのとはいえ)。ハワイだったら飛行機で現地に行き、送迎バスでホテルに行き、どこに行っても観光客だらけというシチュエーションでは家族だけの空間は作れません(ホテルの部屋では寝るだけでしょう)。結果オーライと言ってしまえばそれまでですが、家族に限らず、バラバラになった関係を修復を何とかしたいと思ったら、車の旅をしてはいかがでしょうか。


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