カテゴリー別アーカイブ: あ行

おやすみなさいを言いたくて

戦場カメラマン。特に戦闘や紛争の行われている地域にて戦争や戦闘員、戦争による被害、被害者などを取材するカメラマンのことで、彼らの作品はメディアを通じて目にする機会が多いと思います。中でも、ベトナム戦争で、戦火から逃れるベトナム人母子をとらえた「安全への逃避」は誰もが一度は見たことあると思いますし、僕自身も初めて見たときは強烈なインパクトを受けたことを覚えています。ピュリッツァー賞など国際的な写真コ...[続きを読む]

アンノウン

男性が女性に惹かれる理由、女性が男性に惹かれる理由はさまざまあると思いますが、端的に言ってしまうと「異性だから」に落ち着くと思います。別に同性愛者を否定しているわけではありませんが、やはり人間のみならず他の生物でも男女の区別はあり、それぞれが交わって子孫を残していかねばならない宿命を背負っていることを考えると、性的魅力が前提に立たないと惹かれるものも惹かれないと言えるのではないでしょうか。もちろん...[続きを読む]

黄金のアデーレ 名画の帰還

僕は割とよく海外旅行をするほうで、世界遺産をはじめとする名所旧跡はもちろんのこと、その国を代表する博物館や美術館には必ず足を運ぶことにしています。でも正直言うと、古代史や文化史にそれほど強い関心があるというわけではないので、だだっ広い館内を歩いているうちに、飽きが回ってきてソファに腰掛けてうとうとしてしまうことがよくあります。古墳時代の土器や武器、何が書いてあるのかさっぱりわからない古文書など、最...[続きを読む]

アイヒマン・ショー 歴史を映した男たち

アドルフ・アイヒマン。ナチス・ドイツの親衛隊幹部として、主にユダヤ人からなる数百万の人々を強制収容所に移送する指揮的役割を担った人物です。オーストリアでの少年時代は顔立ちがユダヤ人に似ていたことから、ユダヤ人の友だちが多かったそうですが、ヒトラーの演説を聞いて考えが一変。「総統の演説を聞いてから、自分はドイツ民族の敵であるユダヤ人と仲良くしていたことに腹が立った」とし、ユダヤ人に対する感情を燃やし...[続きを読む]

エスター

この人は絶対にそういうことをしなさそうなのに平気な顔をしてやってのけてしまったり、常識では考えられないことをいつの間にか信じ込まれされていることに気づくと、誰だってとてつもない恐怖に襲われると思います。大どんでん返し系のサスペンス映画ではたいていそうしたクライマックスが用意されているもの。犯人は心の底から信頼していたパートナーとだったとか、実は自分は死んでいるのに普通に現世で生活していたとか、ハッ...[続きを読む]

あしたのパスタはアルデンテ

いま現在の社会において、「親が決めた通りの人生を歩む」という考え方は、相当古臭い価値観として広く認識されていると思います。「親が決めた通り」というのは、武士の息子は武士、染物屋の息子は染物屋、米屋の息子は米屋といった感じで、先祖代々、ひいては社会全体が血縁一統で成り立っていた社会的慣習のこと。要するに、土地と地主に縛られていた小作農は除いて、商家や武家の子が自らの意志あるいは親への反発からまったく...[続きを読む]

インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア

「吸血鬼」と聞けば、条件反射的にドラキュラ伯爵をイメージする人は多いでしょう。かくいう僕もそうです。でも、それと同時に、ドラキュラは創作における架空の人物であり、ひいては吸血鬼自体が想像上の産物であると連鎖的に思い浮かべることと思います。それはおそらく正しい認識のはずです。ドラキュラの出自が小説であることは言うまでもなく、吸血鬼は狼男やフランケンシュタインと同じように、世界中で知られている怪物では...[続きを読む]

あの日の声を探して

この映画の舞台となっているのは、北カフカス地方の北東部に位置する、ロシア連邦北カフカース連邦管区に属するチェチェン共和国。人口は約100万人で面積は日本の四国ほど、住民のほとんどがイスラム教スンナ派を信仰しています。1991年のソ連解体において、ソ連邦を構成していた共和国が次々に独立宣言をする中、当時自治共和国だったチェチェンも独立を目指しますが、ロシアは自治共和国を共和国に昇格させても独立は認め...[続きを読む]

オーシャンズ11

泥棒とか盗賊というのは常識的に考えれば憎むべき反社会的な存在でありますが、テレビドラマやアニメでは「弱い者の味方」として描かれることがよくあります。彼らがやっていることは「人の物を盗む」ことに違いないのですが、それが結果的には弱い立場の人たちを救うことになるから主役になり得るというわけです。不当にぶん取られた資産を取り戻してくれたり、過度に税を取り立てる為政者から金品を盗んで民衆に還元したり、こう...[続きを読む]

アメリカン・ハッスル

いまも昔も、善良な市民から金品を巻き上げる詐欺師の存在が途絶えたことはありません。人を騙して利益を得ようとする人がいない社会など、どんなに治安の良い国でも実現することは不可能。そのうえ、時代が進むにつれて手法はさまざまに変化し巧妙化していくので、警察とのイタチごっこは終わりません。一方で、詐欺師がターゲットとなる人を騙す心理的アプローチはだいたい共通しています。つまり、「ターゲットが騙されたと気づ...[続きを読む]