カテゴリー別アーカイブ: ドラマ

アバウト・シュミット

僕が定年を迎えるまであと数十年はあるのですが、それでも薄ぼんやりとですが、定年退職したらどんな毎日になるのか想像してみることがしばしばあります。そんな時はたいてい、もう仕事したくなくなって会社に行かず家で好きなことしていたいと自暴自棄になる時がほとんどなのですが、それと同時に実際定年退職しても日々の生活における充実感というのは得づらいものだろうとも感じたりします。過去、最長でまるまる1年間仕事をし...[続きを読む]

イカとクジラ

いまでも記憶に残っている怖い絵があります。僕が小学生低学年だった頃のこと。学校の定期健診で虫歯が発覚した時は、住んでいた地区に歯医者がなかったため、バスに乗って市街地まで出て治療しにいかないといけませんでした。歯医者に行くのは嫌だったのですが、家しかない住宅街から出て駅前の繁華街に行くというのは一種の冒険であり、デパートやバスターミナル、マクドナルドなどのお店を目にするだけでもワクワク。それで、治...[続きを読む]

善き人

普段何気なく、特定の人を指して「あの人、いい人だよね」と言うことがあると思います。職場でも、学校でも、行きつけのコンビニでも、馴染みの喫茶店でも、親切で気が利いて感じのいい人なら誰でも「いい人」と表現できるし、このひと言でその人がどういう人であるかをズバリ言い表せる便利な言葉だと思います。それに、他人から自分のことをそう言われたとしたら、嫌味に受け取ったり穿った見方をすることがないかぎり、少なくと...[続きを読む]

シャイン

かつて追い求めて結局手にすることができなかった夢を自分の子供に託そうとすることは、子を持つ親にとって当然の心理なのだそうです。特に、子供の中に自分の姿を見てしまう場合、それが顕著になるとのこと。たしかに考えてみれば、自分が夢を追い求めている過程であの時こうしておけばよかったという後悔や反省は必ず持っているはずなので、いくらでも取り返しの利く子供に当時の自分自身を重ね合わせ、その子が本気かどうかにか...[続きを読む]

クロッシング

「脱北者」とは、定義のうえでは北朝鮮の政治体制や生活環境を苦にして同国を脱出する人のことで、その動機は政治的な理由での亡命から生活苦による国外への逃亡へと変質しているとのことです。亡命ルートはというと、38度線(韓国との軍事境界線)は衛兵や高圧電線、地雷原に阻まれているため主流ではなく、中国との国境を流れる豆満江を渡り延辺朝鮮族自治州の朝鮮族に匿われるケースが多いとされています。首尾よく中国に“入...[続きを読む]

モンスター

今月19日、タレントの一ノ瀬文香さんと女優の杉森茜さんが、都内で人前式および披露宴を行ったことがメディアで大々的に報じられました。誰もが知っている大スター同士の結婚だからというわけではなく(僕はまったく存じあげませんでした)、芸能界では異例の同性婚ということで注目を集めましたわけです。一ノ瀬さんはレズビアンであることをカミングアウト、杉森さんは同性が好きであることを自覚していたというバックグラウン...[続きを読む]

グランド・ブダペスト・ホテル

海外旅行などで現地滞在中のホテル探しをするとき、決め手となるのが「星の数」だと思います。いわゆる「3つ星」とか「5つ星」とかの格付けのことですが、これは特に国際的な統一規格があるわけではなく、国や民間の格付け機関が独自に定めた基準に従って格付けをしているとのことです。なので、格付けには、その国ならではの文化や価値観などが色濃く反映されているため、たとえそのホテルがA国では5つ星に値するクオリティを...[続きを読む]

サラの鍵

ヴェロドローム・ディヴェール大量検挙事件(ヴェル・ディヴ事件)とは、ナチス・ドイツの占領下にあったフランスで1942年7月16日~17日に行われた最大のユダヤ人大量検挙事件のこと。フランス国籍ではない外国籍のユダヤ人が一斉に検挙され、その数は1万5000人近くにまで及び、検挙されたユダヤ人はヴェロドローム・ディヴェールという競技場に集められ、ここからアウシュヴィッツをはじめとする東欧各地の絶滅収容...[続きを読む]

ミックマック

「仕返し」って言うと、日本人だったら条件反射的に「仇討ち」のことを思い浮かべると思います。「忠臣蔵」に代表されるように、自分が仕える主君、または所属する組織を不当な手段で貶められたとしたら、燃え上がる怒りを臥薪嘗胆して抑えながら時宜を待ち、いざ好機到来という時に一気に積年の恨みを爆発させて本懐を遂げる。そんなストーリー、日本人なら誰もが登場人物に感情移入し、心震わせながら画面に見いってしまうことと...[続きを読む]

ドライビングMissデイジー

心理学用語で「パーソナル・スペース」というものがあります。これはコミュニケーションをとる相手が自分に近づくことを許せる、自分の周囲の空間(心理的な縄張り)を意味します。一般に、親密な相手ほど狭く(ある程度近付いても不快さを感じない)、逆に敵視している相手に対しては広いという傾向があり、相手によっては(ストーカーなど)距離に関わらず視認できるだけで不快に感じるケースもあります。たとえば、あまり親しく...[続きを読む]