カテゴリー別アーカイブ: ラブストーリー

フランス組曲

1940年6月、フランスはドイツ軍によってパリを占領され降伏。ドイツのポーランド侵攻でドイツに宣戦布告した後はしばらく戦火を交えることはありませんでしたが、突如として起きたドイツのオランダ・ベルギー侵攻後、わずか1ヶ月後にパリが陥落し、フランス第三共和政は崩壊しました。6月22日に休戦協定が締結、7月10日には自由地区のヴィシーに親ドイツのフランス政府が成立。形式的にはフランスにヴィシー政府の主権...[続きを読む]

メニルモンタン 2つの秋と3つの冬

メニルモンタン 2つの秋と3つの冬

「ドラマみたいな恋」したことありますかって聞かれたら、即座に「ありません」と答えます。いえ、恋愛自体はしたことあります。でも、その恋愛が「ドラマみたい」だったかと思い返すと、何ひとつ思い当たる節がなく、ため息をついてしまいますね。僕はどちらかと言うと、と言うか圧倒的に片想いだったので、確実に振り向いてもらえない状況の中、辛い気持ちに身を貫かれるケースばかりで、起伏どころか急降下しかない恋愛遍歴。そ...[続きを読む]

シンデレラ

幼い頃に、「桃太郎」とか「花咲かじいさん」とか「カチカチ山」などの昔話を、親から読み聞かされたりして親しんできたという記憶は誰にでもあることと思います。僕もそうでした。家に日本や世界の童話を集めた子供向けの全集があり、読み聞かされたのか自分で読みだしたのかはもう覚えていませんが、その20~30ページほどしかなく見開き半分がイラストで構成された本をよく手に取っていたことは覚えています。数十冊から成っ...[続きを読む]

ブロークバック・マウンテン

身近な人から突然「同性愛者」だとカミングアウトされて、何の抵抗なく受け入れられる人というのは、正直なところ少数派ではないかと思います。たとえ、その人の好意の対象が自分ではなかったとしても、いままでと同じように接することを無意識のうちに避けようとし、彼から好かれぬよう警戒を強めてしまうのではないでしょうか。別に、これは同性愛者を差別しようとしているわけではなく、男女間では異性愛が当然の環境にいた人た...[続きを読む]

セレステ&ジェシー

恋人同士、永遠に相思相愛でいられると確信し合っているとしたら、それは本当に幸せなことだと思います。いえ、別に皮肉ではなく、僕らは、たとえ付き合い始めは猛烈に惹かれ合っていたとしても、時がたつにつれて熱も冷め、やがてカップルが解消されていくということを繰り返してきているからです。特に10代の若い頃は、相手を選ぶ際、外見がいいとか、スポーツ万能だからとか、服装がオシャレだとか、甘い言葉に酔い痴れたとか...[続きを読む]

フローズン・タイム

中学生や高校生だったら、好意を抱いた異性に対して、言葉を交わしてみたいとか手を握ってみたいとか思いを募らせるのは当たり前のこと。思春期ってやつです。第二次性徴による生殖器の発達で性ホルモンが分泌され、性的欲求が促されることで、異性への関心が爆発的に向上します。この時期は自我という「もうひとりの自分」と出会い、「人間とはひとりなんだ」という孤独を知るようになります。この孤独を知るという心の変化こそが...[続きを読む]

世界にひとつのプレイブック

妻の浮気現場を目撃したことで精神を病んでしまったパット。夫を交通事故で亡くしたティファニー。この映画は、心に傷を負った者同士が出会い、ぶつかり合いながらも互いに距離を縮めていく話です。と言ってしまえば、映画らしいロマンティックな展開を期待してしまうのですが、実際にそううまくいくものでしょうか。うまくいくというのは、もちろん、傷心のふたりが互いを慰め合い、寄り添い合って、いい意味での共依存関係を築い...[続きを読む]

あなたになら言える秘密のこと

何かについて思い悩んだり、壁にぶつかったとき、人はどういう行動を取ろうとするでしょうか。これは考えるまでもなく、「助けてほしい」と思うはずです。いや、俺は自分ひとりですべてを解決してきたから、他人に助力を頼むなんてありえない、という人もいるでしょう。でも、ここで僕が意図しているのは、自分でできる範囲を完全に超えていて絶望のあまり立ち往生してしまっている状況のこと。どんなに難解な暗号も瞬時に解けてし...[続きを読む]

ポンヌフの恋人

「誰かを好きになると、いままで灰色だった世界がバラ色に見える」。恋の始まりを表現としてよく使われるフレーズですね。これは別に大げさな表現でも当てずっぽうな言い回しでもないことは、一度でも恋を経験したことがある人ならわかることだと思います。あの人が話しかけてきてくれた、あの人が笑顔を返してくれた、あの人がじっと見つめていてくれた。気になっている人が自分に少しでも好意的なリアクションをしてくれただけで...[続きを読む]

(500)日のサマー

特定の異性と親しくなって友だち以上の関係を気づきだしたタイミングで、おそらく双方とも確認したいけれどなかなか言い出せないのが「私たち、付き合ってるの?」という質問でしょう。もちろん、どちらかが一方に対して「好きだ」と告白し「OK」を受けて始まった交際であるなら、気にすることではないはず(初期の段階での話ですが)。それでも、なんとなくというか、いつの間にか一緒にいるのが普通になった経緯だとすると、た...[続きを読む]