カテゴリー別アーカイブ: ラブストーリー

ムード・インディゴ~うたかたの日々~

恋に色を付けるとしたら何色でしょうか。よく順風満帆の恋には「バラ色の恋」、逆に片思いの辛い恋には「ネズミ色の恋」とか、その恋のシチュエーションによっていかようにも変容するものなので、つねに一定した色が付けられるわけではありません。でも、心躍るような恋には美しい花や絶景の形容が付き、どん底まで落ち込むような恋は雨雲や灰の色にたとえられることは、万国共通だと思います。一時の燃え上がりが落ち着いた状態、...[続きを読む]

ウォーム・ボディーズ

本来は人間らしい感情など持ち得ないゾンビが、ある日食糧とするために襲撃した人間の女の子に恋をして、感情的な温かさを取り戻していくというストーリー。そもそもゾンビとは、死体が蘇り死体のまま行動する化け物のことであり、生きる人間の対照としてホラー映画では定番のキャラクターとなっています。そんな温かさの欠片も感じさせないゾンビが、ある女の子と出会って人心地ついて、気づかぬうちに体温(ゾンビの体温は気温と...[続きを読む]

ギター弾きの恋

中高生のうら若き青年がギターを始める理由ってなんでしょうか。音楽を通して若者特有の複雑な自己を表現したいから、溢れ出る無秩序で爆発的な感情を五線譜にぶつけたいから、バイクではなくステージで爆音を轟かせて自己顕示欲を示したいから、などいろいろ考えられると思います。有り体に言ってしまえば、動機の根底にはあるのは「若者特有のやるせない感情の発露」であり、言葉に乗せてしまうと企業面接向けの受け答え的なのは...[続きを読む]

ロルナの祈り

偽装結婚とは、夫婦として共同生活をしている実態がないが配偶者がいることの利点を享受するために結婚することを言いますが、たいていブローカーを通して外国人が日本人とする偽りの結婚を指すことがほとんどです。形式的に言うと、日本へ出稼ぎに来る外国人が在留資格と就労資格を得る目的で、日本在住の日本人と婚姻生活の実態を伴わない書類上の結婚を計画的に行うこと。これは当然のこととして詐欺行為による犯罪で、電磁的公...[続きを読む]

サンザシの樹の下で

自宅にテレビがない僕でさえ、NHKで朝に放送されている「連続テレビ小説」が爆発的な人気を博しているという話題によく接します。最近で言うと2013年の「あまちゃん」でしょうか。宮藤官九郎脚本による軽妙なストーリー展開、主人公の能年玲奈をはじめとする個性的な俳優たち、耳馴染みのよいテーマ曲や挿入歌などが相乗して視聴率は平均で20%を超え、従来のターゲットであった主婦だけでなく若年層にも訴求したことが功...[続きを読む]

ホリデイ

僕は休日は家でのんびり過ごすほうなので、あちこち旅行に出かけたり買い物に街に繰り出すなんてことはほとんどしません。ゴールデンウィークなどまとまった休みが取れる場合は海外とか積極的に行ったりはしているのですが、週末は引きこもっているのが基本。ごくたまに1泊2日の国内旅行をしたりしてアクティブになることはありますが、本当にレアなケースです。休日とはあくまでも「骨休み」という認識であり(僕が超絶インドア...[続きを読む]

エターナル・サンシャイン

嫌な記憶をきれいさっぱり忘れてしまいたいと願うのは誰だって同じことです。体験としてはもう済んだことなのに、その嫌な記憶がいつまでもついて回って楽しいことも楽しいと思わせてくれなかったり、ある程度落ち着いた頃合いにふとしたことで浮き上がってきて精神を不安定にさせられたり、感情の襞にしがみついた負の記憶はなかなか忘却の彼方に消えていってはくれません。とは言え、その場できれいさっぱり忘れられることができ...[続きを読む]

PARIS

本屋にふらっと入って所在なく旅行書のコーナーに行き着くと、無意識のうちに手が伸びているのが「フランス」のガイドブックです。フランス、それもパリについて記述された箇所は気がついたら熱心に眺めていて、観光地や街の様子をとらえた写真をじっと見つめていたり、種類のあるバゲットやチーズを見比べたり、東京からの飛行時間や各地への交通を調べたりしてしまっています。ところで、僕はパリには行ったことありません。なの...[続きを読む]

台北の朝、僕は恋をする

台湾に旅行に行った時、まず思ったのが「日本とそんなに変わらないな」ということでした。もちろん、食べ物や建物の様子は現地特有の独自性を持っているのですが、僕が変わらないと思ったのは、人。短い期間ながらも台湾各地を回った中でいちばん記憶に残っているのが、自分自身が外国人だと意識するのを忘れてしまうくらい自然に過ごせてしまう居心地の良さです。その居心地の良さを感じさせる空気を醸し出しているのが、台湾人そ...[続きを読む]

恋する惑星

香港を訪れるバックパッカーなら知らない人はいないと言われている「重慶大厦(チョンキンマンション)」。香港随一の繁華街、尖沙咀(チムサーチョイ)に立地しているこのマンションは、雑貨屋やかばん屋、食堂、両替屋などローカル色満点の店が入居しているだけでなく、各階にびっしりと存在する安宿が旅行者にとっての目玉。僕も初めて香港に旅行に行った時、宿を求めて真っ先に向かったのがこのマンションでした(実際、宿を取...[続きを読む]