カテゴリー別アーカイブ: か行

クロッシング

「脱北者」とは、定義のうえでは北朝鮮の政治体制や生活環境を苦にして同国を脱出する人のことで、その動機は政治的な理由での亡命から生活苦による国外への逃亡へと変質しているとのことです。亡命ルートはというと、38度線(韓国との軍事境界線)は衛兵や高圧電線、地雷原に阻まれているため主流ではなく、中国との国境を流れる豆満江を渡り延辺朝鮮族自治州の朝鮮族に匿われるケースが多いとされています。首尾よく中国に“入...[続きを読む]

グランド・ブダペスト・ホテル

海外旅行などで現地滞在中のホテル探しをするとき、決め手となるのが「星の数」だと思います。いわゆる「3つ星」とか「5つ星」とかの格付けのことですが、これは特に国際的な統一規格があるわけではなく、国や民間の格付け機関が独自に定めた基準に従って格付けをしているとのことです。なので、格付けには、その国ならではの文化や価値観などが色濃く反映されているため、たとえそのホテルがA国では5つ星に値するクオリティを...[続きを読む]

ギター弾きの恋

中高生のうら若き青年がギターを始める理由ってなんでしょうか。音楽を通して若者特有の複雑な自己を表現したいから、溢れ出る無秩序で爆発的な感情を五線譜にぶつけたいから、バイクではなくステージで爆音を轟かせて自己顕示欲を示したいから、などいろいろ考えられると思います。有り体に言ってしまえば、動機の根底にはあるのは「若者特有のやるせない感情の発露」であり、言葉に乗せてしまうと企業面接向けの受け答え的なのは...[続きを読む]

ゲーテの恋 ~君に捧ぐ「若きウェルテルの悩み」~

「ひと思いに出かけてしまって、ほんとによかったと思っている。人間の心なんて、へんなものだね、君。ぼくがこれほどにも愛していて離れがたく思っていた君とわかれて、しかも朗らかにしていられるんだから。むろん君にはゆるしてもらえるだろうね」。この出だしからスタートする『若きウェルテルの悩み』は、1774年の初版以来、恋破れた青年の誰もが手に取り、そして誰もが共感した悲恋小説の古典として全世界で知られていま...[続きを読む]

この森で、天使はバスを降りた

この映画の主人公は、いちいちDVDパッケージのあらすじを読み返すまでもなく、パーシーという女性です。殺人を犯した罪で服役していた刑期を終えたパーシーが、メイン州の森の中にある田舎町ギリアドで人生の再出発をするところから物語は始まり、よそ者を警戒する町の人との触れ合いやぶつかり合いが描かれていきます。少女期からのトラウマにより対人的にぶっきらぼうでありながらも、それでいて人恋しさや愛情への渇望を次第...[続きを読む]

コッホ先生と僕らの革命

サッカー日本代表がいわゆる「ドーハの悲劇」で本戦出場を逃した、1994年のアメリカワールドカップ。日本代表が出場できなかった悔しさと無念は開幕と同時にすっかり忘れ、僕はJリーグやアジア地区予選で見ることのなかった世界レベルの選手のプレーに完全に魅了されてしまっていました。ロマーリオ、ドゥンガ、ロベルト・カルロス、ベベット、ロベルト・バッジョ、バティストゥータ、ベルカンプ、ダービッツ、ハジ、ストイチ...[続きを読む]

グラディエーター

小学校高学年の頃、衆人環視のもと、学校の砂場で因縁深き同級生との“決闘”をしたことを思い出しました。因縁と言っても別に深い怒りや憎しみから生まれたものではなく、それまで仲は悪くなかったのに何らかの行き違いで仲違いしただけだったように記憶しています。だから、決闘と言うには大げさすぎるけど、じゃれ合いと言うには可愛げがないといった程度。どちらかが再起不能にまで殴り合うなんて殺伐としたものではあるはずが...[続きを読む]

ガタカ

砂浜に立って波打つ海を眺めながら「この海の大きさに比べたら自分がどれだけちっぽけな存在かわかる」と、しみじみつぶやくシーンが、ドラマや小説などでよく出てきます。こうした時の主人公の心理状態として、何もかもうまくいかずストレスが溜まっていてヤキが回っているというシチュエーションがほとんど。そんな惨めさで押し潰されそうな自分自身も、海の前に立つと、地球誕生時より続いている有給の営みによりすべてを洗い流...[続きを読む]

神々と男たち

ごくたまにですけど、僕が住むアパートにもキリスト教教会の人が「お話を聞いてほしいのですが」といった感じで勧誘に訪れます。そのたびに僕は、インターホン越しに「結構です」と冷たくあしらって追い返すということを繰り返しています。おそらく、日本のどこでも、キリスト教に限らず似たような勧誘活動が行われているのでしょうが、考えてみればこれはとても冒険的で危険の伴うことなのではないかとも思うのです。たとえば、自...[続きを読む]

キング・コング

結論から言えば、とても面白い映画でした。「ジュラシックパーク」をほうふつとさせる圧倒的な映像表現と、シンプルなストーリーの中にも人間と獣の心の結びつきを表現した巧みな演技力など見どころは非常に多く、3時間という長尺ですがもうちょっと長くても良かったなというのが本音です。この作品は1933年にアメリカで上映された初代のキングコングをリメイクしたものですが、監督のピーター・ジャクソンはこの初代キングコ...[続きを読む]