ディバイナー 戦禍に光を求めて

この映画の舞台となったガリポリの戦い。たぶん日本人にはまったく馴染みがないでしょうし、僕自身も名前の響きから古代ギリシア時代の戦争のひとつかなと思ってました。ですが、本編を観てみると、第一次世界大戦なんですね。さらに、この戦いの上陸作戦が行われた4月25日は、オーストラリアとニュージーランドで「アンザック(ANZAC)・デー」と呼ばれ国民の祝日となっているほど重要な戦いであったことがわかりました。...[続きを読む]

あしたのパスタはアルデンテ

いま現在の社会において、「親が決めた通りの人生を歩む」という考え方は、相当古臭い価値観として広く認識されていると思います。「親が決めた通り」というのは、武士の息子は武士、染物屋の息子は染物屋、米屋の息子は米屋といった感じで、先祖代々、ひいては社会全体が血縁一統で成り立っていた社会的慣習のこと。要するに、土地と地主に縛られていた小作農は除いて、商家や武家の子が自らの意志あるいは親への反発からまったく...[続きを読む]

サイダーハウス・ルール

ドラマや小説、歌の歌詞などで少年を描く際、何かに縛られて不自由を感じている、古い慣習に息苦しさを感じている、既存の概念を押し付けてくる大人に対抗心を抱く、といった感じで描かれることが多いと思います。少年、だいたい中高生くらいの年代を指すと思いますが、こうした場合、「社会の不条理に対する義憤」「大人が決めた間違ったルールを正す闘争」「何も変えようとしない後ろ向きな姿勢への糾弾」というニュアンスを下地...[続きを読む]

プレミアム・ラッシュ

いまでこそ、書類はデータ化してインターネットで手軽に送れる時代になりました。ですが、インターネットがなかった頃、あるいは原本を送付しなければならない場合については、宅配業者を利用することが一般的でしょう。で、真っ先に思いつくのが、郵便。民営化されたとは言え、手紙をはじめ小包を送るという業務に変わりはなく、それにどんな小さな町にも郵便局は1軒はある(たぶん)身近なものなので、やはりいまも昔も配達をお...[続きを読む]

キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー

アメコミと言ったら、僕は「スーパーマン」と「スパイダーマン」しか知らないですし、そう言えば子供の頃「トランスフォーマー」のアニメがテレビでやってたなくらいの知識しかありません。で、それを観て感化されたという記憶もなく、ただ単にアメリカ人なら誰でも知ってる子供向けヒーローなんだという冷めた認識で留まっています。別に、アメコミに対して不快な感情を抱いて忌避したというわけではないのですが、日本の子供向け...[続きを読む]

シンデレラ

幼い頃に、「桃太郎」とか「花咲かじいさん」とか「カチカチ山」などの昔話を、親から読み聞かされたりして親しんできたという記憶は誰にでもあることと思います。僕もそうでした。家に日本や世界の童話を集めた子供向けの全集があり、読み聞かされたのか自分で読みだしたのかはもう覚えていませんが、その20~30ページほどしかなく見開き半分がイラストで構成された本をよく手に取っていたことは覚えています。数十冊から成っ...[続きを読む]

Mommy/マミー

ADHD(注意欠陥・多動性障害)とは、不注意(集中力がない)、多動性(じっとしていられない)、衝動性(考えずに行動してしまう)の3つの症状がみられる発達障害のこと。年齢や発達に不釣り合いな行動が社会的な活動や学業に支障をきたすことがある障害であり、7歳以前に症状が現れるとされています。その具体的な特徴として、まず不注意は、忘れ物が多い、何かやりかけでもそのままほったらかしにする、気が散りやすい、話...[続きを読む]

インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア

「吸血鬼」と聞けば、条件反射的にドラキュラ伯爵をイメージする人は多いでしょう。かくいう僕もそうです。でも、それと同時に、ドラキュラは創作における架空の人物であり、ひいては吸血鬼自体が想像上の産物であると連鎖的に思い浮かべることと思います。それはおそらく正しい認識のはずです。ドラキュラの出自が小説であることは言うまでもなく、吸血鬼は狼男やフランケンシュタインと同じように、世界中で知られている怪物では...[続きを読む]

21グラム

人体を構成する臓器の中でもっとも重要なものは何かと聞かれたら、おそらく誰もが「心臓」と答えるのではないでしょうか。お酒を大量に飲む人だったら肝臓、糖尿病を患っている人だったら腎臓といった感じで、人によって意見は分かれるかもしれませんが、命に直結した臓器と言えば心臓というのは異論のない共通認識だと思います。心臓は全身に血液を循環させるポンプの役割を担っている云々という理屈を抜きにしても、また身の危険...[続きを読む]

あの日の声を探して

この映画の舞台となっているのは、北カフカス地方の北東部に位置する、ロシア連邦北カフカース連邦管区に属するチェチェン共和国。人口は約100万人で面積は日本の四国ほど、住民のほとんどがイスラム教スンナ派を信仰しています。1991年のソ連解体において、ソ連邦を構成していた共和国が次々に独立宣言をする中、当時自治共和国だったチェチェンも独立を目指しますが、ロシアは自治共和国を共和国に昇格させても独立は認め...[続きを読む]