メイジーの瞳

両親が子供の前で口喧嘩して子供に影響を及ぼさないなんてことは絶対にあり得ません。無邪気であり無力でもある子供は、両親のことは「自分のことをつねに真剣に考えてくれている」と信じ込んでいます。自分にとって唯一の味方であるはずの両親が互いに目玉を剥き出して口論をしている。そんな姿は、子供に対する両親の裏切り行為であり、もともと脆弱である子供の精神をさらに不安定にすることにほかなりません。両親がしょっちゅ...[続きを読む]

きつねと私の12か月

小学校低学年の頃だったと記憶していますが、家でウサギを飼っていました。ウサギを飼っていたのは時期を分けて2回あります。初めての時は幼稚園で飼育していたパンダウサギの子供をもらってきた時、2回目は近所のおじさんが山で捕まえてきた野ウサギをもらった時です。どちらも、父が作ったウサギ小屋に放り込み野菜などを与えながら、家の中に置くことはできなかったので駐車場の脇で飼育していました。パンダウサギはそれほど...[続きを読む]

ワン チャンス

この映画は、生まれて持った才能があるのに自信が持てず開花させずにいた男性が、ようやく掴んだ最後のチャンスをものにしてスターになるというストーリー。一発逆転とか大どんでん返しとかいうような、棚からぼたもち的な奇跡ではなく、主人公のポールはオペラを歌いこなす類まれな才能を持っていて、さまざまな紆余曲折を経てそれが大一番で認められるという展開です。僕はもちろんオペラのことなんてまったくわからないですけど...[続きを読む]

大統領の執事の涙

「執事」って一体どんな仕事をする人のことなのでしょうか。僕は実際に執事の仕事をしている人を見たことはないので、ドラマやアニメを通じてのイメージをいうと、召使とか使用人といったところでしょうか。大企業の重役とか昔からの名家に仕えて、主人のスケジュール管理や来訪者の取次などをこなす人のこと。いつもタキシードでキメていて、家政婦や乳母がするような家の清掃とか子供の世話とかせず、江戸時代の家老職のような感...[続きを読む]

最後のマイ・ウェイ

いつか僕が自分の人生を振り返るコメントを求められたとしたら、なんと答えるでしょう。たぶんですが、「まぁ、こんなもんだったんじゃないでしょうか」とか「あまり人生の良し悪しなんて意識することがなかったのでコメントしようがないですね」みたいな曖昧な返答に終始するのではと思います。でも、これは人生で成功を収め、良いフィニッシュを迎えようとしている場合に限ります。いまのままでコメントを求められたとしたら(そ...[続きを読む]

A.I.

「愛情遮断症候群」という病気があります。愛情を感じることができない環境で育った子供がかかってしまう病気のことで、睡眠時に分泌されるべき成長ホルモンが分泌されず、発達や成長に遅延が生じてしまいます。言語の遅れや緩慢な動作、乏しい表情、知的発達の遅延、睡眠障害といった症状が生じ、十分な栄養も与えられていない場合も多いため栄養失調状態にあることも少なくないとのことです。この原因はもちろん親の言動にありま...[続きを読む]

ワイルド・スピード EURO MISSION

学生時代に自動車の免許を取得して以来、ほとんど運転をしていないので、いまや完全にペーパードライバーです。マニュアルで免許取りましたが、もうすっかり感覚を忘れてしまっているので、オートマチックしか運転できないでしょう。鉄道・地下鉄が網の目のように走り、月極の駐車場料金がべらぼうに高い東京に移り住んでからは、車の運転からさらに遠ざかる傾向にあります。さすがに地元に戻ったり地方に引っ越す必要ができた場合...[続きを読む]

バックドラフト

僕が育った地域というのは、山を切り開いて均した台地の上に造成された住宅地。地名に「ニュータウン」こそ付きはすれど、小規模スーパーと小学校、郵便局、駄菓子屋があるだけの、まったく開けていないところでした。放課後の遊びは、同級生と球技をしたりファミコンをやることのほか、未開拓の山の中に分け入って冒険したりするくらいが関の山。ファミリーレストランが徒歩圏内にあって電車に乗って帰宅するなんていう環境がとて...[続きを読む]

コラテラル

地方から東京に出てきて、これだけたくさんの人がいるのだから、きっとすぐに仲の良い友だちができる。田舎では町内会やら地元の行事やらのしがらみがあって、一度でもボイコットすれば即座に村八分にされたけど、東京に出てくればそんな面倒なんてなく、無理に深入りしてこない心地良い人間関係を持てる。こんな思いを抱いて上京してくる人は結構いるんじゃないかと思います。つまり、閉鎖的で因習的な地方から、開放的で寛容な東...[続きを読む]

長ぐつをはいたネコ

「あれ? こんな話だったっけ?」。この映画を観て、僕がまっさきに漏らした言葉。と言っても、本来のストーリーを正確に記憶しているわけではないのでネットで調べてみたら、この映画と共通しているところはネコが長靴(ブーツ)を履いているということだけでした。さすがに、幼児向けの映画ではないのでオリジナルをそっくりそのまま描くことはしていないことはわかりますが、別にタイトル合わせなくてもいいのではと思ってしま...[続きを読む]