ミシェル・ヴァイヨン

僕が中学生の頃、友人の間でF1が流行ったことがあります。当時は、アイルトン・セナが全盛だったこともありF1人気は世界的にもすごいものがあったと記憶していますが、F1にまったく興味のなかった僕にはその話題が始まると苦痛の時間にすぎませんでした。セナをはじめ、ネルソン・ピケやミハエル・シューマッハ、アラン・プロストなど、話を聞かされているうち有名なF1レーサーの名前だけは嫌でも覚えていきましたが、肝心...[続きを読む]

ダラス・バイヤーズクラブ

医薬品は一製品あたりの製造原価が安く、製造業の中でも利益率が非常に高い産業だそうです。したがって、画期的な新薬を開発できれば、世界市場で年間数千億円を売り上げることも決して不可能ではありません。しかし、ひとつの新薬の開発するのに、数十億円から数百億円という莫大な研究開発費が必要とのことで、製薬会社の企業売上高に占める研究開発費の割合は、電気・電子・精密機器・自動車産業が5%前後であるのに対して19...[続きを読む]

ブラス!

エネルギー革命に伴い、炭鉱が次々と閉山していくという事態はなにもイギリスだけに限らず世界的な現象であり、言うまでもなく日本も同じです。殊に日本で取れる石炭は質が悪く、また地中深くまで掘り進めないと採掘できないのでコストが高くつくという事情があり、戦争では戦艦用の石炭を安くて高品質な外国産に求めていたほど。なお、石炭を掘る手段として2種類あり、石炭のあるところまで延々と穴を掘っていく坑道堀りと、地表...[続きを読む]

台北の朝、僕は恋をする

台湾に旅行に行った時、まず思ったのが「日本とそんなに変わらないな」ということでした。もちろん、食べ物や建物の様子は現地特有の独自性を持っているのですが、僕が変わらないと思ったのは、人。短い期間ながらも台湾各地を回った中でいちばん記憶に残っているのが、自分自身が外国人だと意識するのを忘れてしまうくらい自然に過ごせてしまう居心地の良さです。その居心地の良さを感じさせる空気を醸し出しているのが、台湾人そ...[続きを読む]

クラッシュ

アメリカ合衆国には多種多様な人種が住んでいるということは、いまさら言わずもがなの話。では、どのような人種構成になっているかというと、まず圧倒的多数を占めているのが白人で74%(2006年American Community Surveyより。以下同)。2番目に多いのがヒスパニック系で14.8% (メキシコ系64%)。そのうち43%が西部の州に住み西部の人種の27%ほどを占めていますが、一部のヒスパ...[続きを読む]

真珠の耳飾りの少女

僕は美術館とか博物館という場所にはまったくもって食指が動かないタイプの人です。国内外問わず、旅行に行った時には、国立の大きなものはもちろん、滞在している街の歴史や文化にちなんだ記念館などももれなく足を運ぶのですが、特に強い知的興味や探究心が湧いたから行くわけではありません。単に、そこがその街のシンボルになっていたりガイドブックのいちばん最初に大きく紹介されていたからなどといったように、そこに行った...[続きを読む]

再会の街で

嫌なことは誰だってすぐに忘れてしまいたいと考えるものです。その度合が深ければ深いほど簡単に忘れ去ることなどできず、いつまでも脳裏にこびりついて後々まで悪影響を及ぼし続けます。かなり昔の出来事で完全に綺麗さっぱり忘れたものと思い込んでいたことでさえ、何かの拍子に突然思い起こされることもあり、まるでヘビに睨まれたカエルのごとく戦慄で全身が動かなくなったり、体中の骨という骨が強力な酸で溶かされてしまった...[続きを読む]

エクスペンダブルズ

本来の商品・サービス(主たる人気商品)とは別の商品・サービス(従たる不人気の商品)をセットで販売する方法・手法のことを「抱き合わせ商法」と言います。こんな売り方、誰がどう見ても消費者の足元の見た卑劣なやり方に違いないのですが、どうしてもその商品を欲しい人なら、多少心のうちで舌打ちしようとも買ってしまうわけです。この点、オークションに参加する人の心理に近いのかなという感じがします。どんどん値段が吊り...[続きを読む]

きっと、うまくいく

「大丈夫大丈夫」「いいからいいから」「とりあえずやっとけって」。こういうのは励ましでも慰めでもなんでもなく、根拠のない煽りだったり冷やかしだったりすることがほとんどで、これらをよく口にするのはたいてい自主性のない未成熟な人に決まっています。言われたこちらとしては「はいはい」と話半分で受け流しておけばそれで済むわけですが、何かに真剣に迷っている時だと腹が立つのを通り越して、憎しみさえ感じることもあり...[続きを読む]

恋する惑星

香港を訪れるバックパッカーなら知らない人はいないと言われている「重慶大厦(チョンキンマンション)」。香港随一の繁華街、尖沙咀(チムサーチョイ)に立地しているこのマンションは、雑貨屋やかばん屋、食堂、両替屋などローカル色満点の店が入居しているだけでなく、各階にびっしりと存在する安宿が旅行者にとっての目玉。僕も初めて香港に旅行に行った時、宿を求めて真っ先に向かったのがこのマンションでした(実際、宿を取...[続きを読む]