96時間

欧米は「個人主義」、日本は「集団主義」だと言われます。これはもちろん傾向としてでありますが、個々人の差異はあれど、その民族を貫く一本の筋としては間違っていないと思います。思うままに行動できるが責任はその個人が負う「個人主義」に対し、家や会社、学校などの単位で行動し責任は全員で負う「集団主義」。たしかに、欧米人は自分の意見をはっきり主張し自分自身をプロデュースしている印象があり、日本人は何かを決める...[続きを読む]

マンデラの名もなき看守

アパルトヘイトとは何かについて調べてみました。アパルトヘイトはアフリカーンス語で分離や隔離という意味を持つ言葉で、南アフリカ共和国で施行されていた白人と非白人を区別する人種隔離政策とのこと。この白人というのが支配層であるイギリス系住民のことであり、非白人とは要するにそれ以外の人種に属する人たちのことです。それ以外とは、言うまでもなく原住民である黒人、カラードと呼ばれた混血、インド人、アジア人のこと...[続きを読む]

ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛

連続ものの小説を読むことはよくありますが、上下巻や3、4分冊ならまだしも、さすがにこれほどの分量の大長編は無理だと腰が引けて断念することもよくあります。いちばん初めにそういう心境になったのは、『銀河英雄伝説』でした。高校の頃、友人から面白いからと絶賛されて貸してもらおうとしたのですが、なんと全10巻、しかも外伝も5冊ほどあると聞き、丁重に断りました。当時から読書好きだったとはいえ、あまりにも長い期...[続きを読む]

ヒトラーの贋札

通貨の価値というのは、その通貨を発行する国の信頼度によって担保されています。信頼度が高いというのは世界で通用するということであり、要するにどこの国に行っても両替ができる通貨のことです。この基準に合致するのは、米ドル、ユーロ、日本円、英ポンド、スイスフラン、カナダドル、スウェーデンクローネだけ。なので、日本人であれば基本的にどこの国の銀行に行っても日本円を現地通貨に両替してもらえるわけです。まぁ、世...[続きを読む]

インセプション

夢は割とよく見るほうです。その日の体調や精神状態の良し悪しに限らず、週に4、5回は起床後に何らかの夢を見たと実感を持ちます。また、電車の吊革に掴まったまま居眠りをしたほんの数分の間でもはっきりとした夢を見ることがありますし、うとうとしながら夢を見ることすらあります。あと、激しい妄想癖があるので、何かに取り憑かれたように没頭している時には、現実との区別がつかなくなり、自分自身が正体不明になってしまう...[続きを読む]

マイケル・コリンズ

国の英雄とは、他国に支配された中で民衆を率い独立を勝ち取った、あるいはその端緒となった指導者のことを指すケースがほとんどだと思います。ほかにも、世界的に有名なサッカー選手やノーベル賞受賞者、世界中の教科書にも載っている芸術家なども英雄たる資格はあるでしょうが、文化的偉勲よりも、圧制から祖国を解放したという事実のほうが本当の意味での「英雄」と言えるでしょう。何しろ、英雄が英雄たりうる理由というのは、...[続きを読む]

オーケストラ!

1990年代に入ると、それまでの歌謡曲から脱皮した若者向けの音楽が確立され、J-POPという新しいジャンルの音楽が全盛期を迎えます。その頃には音楽再生メディアとしてCDが広く普及したことも追い風となり、次々に生まれるヒット曲で売り上げランキングは毎週変動。そうしたヒット曲をいち早く覚えた人たちが自慢の喉を競い合うため、カラオケボックスが大盛況するという時代でした。当時中学生だった僕のクラスでも同じ...[続きを読む]

フィリップ、きみを愛してる!

昔に比べ、日本でも同性愛に対する理解は進んでいると思います。僕が子供の頃は、日本にいる外国人を「ガイジン」と呼んで無意識のうちに区別していたのと同じくらい、同性愛あるいは同性愛者を別の世界の住人みたいに見なしていました。だけど、いまでは規制緩和でコンビニやファストフード店でアジア系の外国人が普通にアルバイトしている現実と同じくらい、同性愛者に対する視線も緩んでいったように思います。 それでも...[続きを読む]

スリー・キングス

ここ数年で、テレビや新聞といったマスメディアに対する信頼はガタガタとなってしまいました。原因は言うまでもなくインターネットの普及によるもので、日本を貶める報道をしている、日本または日本人の活躍を報道しない、自分たちが儲けるためだけに情報を歪曲している、といった怒りの主張が連日ネット空間を飛び回っています。抗議はネットの中だけにとどまらず、NHK受信料契約の解約、スポンサーへの電凸、繁華街でのデモ行...[続きを読む]

パシフィック・リム

日本の特撮やアニメに強い影響を受けた監督がメガホンを取ったこの映画。ですが、内容的には典型的なハリウッド的SFアクションで、CGを多用した迫力ある映像と兄弟愛、親子の絆が見どころだとしか感じませんでした。ウルトラマンやゴジラみたいに、正義の味方と大怪獣が激突するという基本思想はそのまま受け継がれているわけですが、あくまでも「ハリウッド製」であるため、作品の中に日本的要素や子供の頃見たような懐かしさ...[続きを読む]